まぬけがすぎる
体が受け付けない食べ物を、事前にだいぶ諦められるようになったはずであった。
わたしは食べることができないが家族には用意することに、慣れたはずであった。
慣れとはおそろしいもので、確実に、慢心と油断を招いたといえる。
その日、子がポップコーンをつまんでいた。
わたしはコーンフレーク(プレーン)で腸がたいへんな目に遭っているため、とうもろこしのお菓子を避けていたのだが。コーンのお菓子は好きなもののひとつである。
ポップコーンなら。詰まっているどころか弾けて密度が下がっているから、少しならいいのではないか。
そんなことを考えて、手を伸ばした。子も、何も言わなかった。
十数粒(数十粒ではない)程度のこと、症状が重ければなにかしらの反応があったかもしれないが、わたしと同様のことを思ったのだろう。
三時間ほど経過したところで、気づいてしまった。
「さっき食べた……ポップコーン……」
「うん?」
「『バター』しょうゆ味……」
「あ」
「ぶっ」
「あ」は子、吹いたのは夫である。
「もう、なるようにしかならないね」
そう、ハラに入れてしまったものは仕方がない。痛くならないことを祈るのみ。
しかしその辺りは無情で、痛みに襲われる。
量が少なかったおかげなのか乳成分にしては時差があったものの、一〇〇パーセント症状が出るものであることが証明されてしまった形である。原因はとうもろこしなのか乳成分なのか不明ではあるが、ずっと避けてきたためか確実に反応している。できればその辺はグレーにしておいてほしかった。
コロナにかかったときもそうだったが、実に体がいうことを聞いてくれない。
これまでの人生、あれだけ不調を気力でどうにかしてきたのに。
たかが十数粒、されど十数粒。
おそろしい。
「いや、普通にアウトだろ」
冷静になってみれば、その通りである。
カレーせん(コメ)で学習することなく半年くらい同じことを繰り返したことを思えば、さすがに学習していると思いたい。たい。(誤植ではありません)
「もうポップコーン食べない……」
うまいこと避けていると自画自賛していたはずなのに。慢心とは本当におそろしいものなのである。
そんなわけで大腸が絶不調な今日この頃。
皆様におかれましても健康にはご留意くださいますよう。




