チョコと生チョコ
体が乳成分を拒み出して数年。更年期の人が牛乳を飲むとお腹を壊すことがあるという話を知って、自分もそのホルモンバランスの乱れによる腸内環境の変化だと思い込むこと数年。
乳成分の拾い方がえげつなくなっていき、牛乳だけの話ではなくなったことから違うのではないかと思うようになり、コロナに罹患したついでに医者に訊いてみたのが昨年の話(「結局アレルギーなのか」回)。
その後も不本意ながら順調に乳成分入りのものを口にするとハラが敗けていき、とうとう一部フランスパン類に使われている「発酵風味料」を拾うようになった。原料が乳成分由来だった……。
なんでフランスパンにアレルゲン乳の表記があるんだい、と思っていた謎がようやく解けた夏であった。
おまけに乳糖まで拾うようになる。これはおそらく牛が引っ掛かるようになったところに関係していると考えている。可能性があるのは乳糖を作るときに原料の乳製品から微量のたんぱく質が「混入することがある」こと。
そんな微量(たぶん)ものまで拾うようになっていたら、そりゃチョコレートも食べられなくなるわけだ。
なんとなく疑いは持ちつつも、お気に入りのチョコチップクッキー(チョコ以外は乳成分不使用で異性化糖も入っていない)を食べてやられる。
諦め悪く数度試して、コレはもう完全に確定だな、と(「乳ひろいすぎ問題」回)。
市販のチョコレートは諦めて、でも諦めの悪いわたしはどうにかカカオマスを入手した。数年ぶりに買おうとしたら、本格的に入手が難しくなっていた。夏だから売れない(在庫がある)と思っていたのに、入荷待ちという。
カカオもいろいろ問題抱えているからなあ。そんなことを考えながら数週間入荷を待ち、滑り込みセーフの注文をしたのだ。
届いたカカオマスは、予想よりも酸味が強い。これはちょっと手を加えないと食べづらい。
昨年だったかな、友人と行ったお店で買ったカカオマスとさとうだけのチョコレートは、おいしかったけれどやっぱり酸味はそれなりにあって。そういうものだと知っていてもやっぱりチョコレートとして食べるなら、もうちょっとだけまろやかになってほしい。
となると、豆乳か豆乳クリームを混ぜるしかないわけで。
そこで、はたと気づく。
それ、生チョコじゃね?
どう頑張っても、カカオマスに豆乳か豆乳クリームを混入した時点で水分量が増える。水分量が増えれば当然、日保ちがしない。
チョコレートの原材料を見てみれば、加えられている乳製品は全粉乳などの乾きものだ。そりゃそうだ。
日本のチョコレートは、全国チョコレート業公正取引協議会というところが分類を規定している。チョコレートは水分量三パーセント以下、生チョコは水分量一〇パーセント以上なのだとか。ほかにも細かく決められているようで、食品販売の世界もたいへんだね……と思っている。
モノは違うけれどビスケットとクッキーを明確に区別する規定もあるしね。この規定は日本だけだけど。
ということは、わたしには生チョコしか選択肢がない。
ということは、一度に作れる量には限りがある。しかも、作ったらとっとと食べなければならない。
えーーーー。
乾きものの豆乳……おからパウダー?
あれを入れたら舌触りすごいことになるよなあ。却下だ。
チョコ……チョコレートが食べたいのに……。生チョコで妥協するしかないのか……。
すきだけどね、生チョコ。
でも、違うんだよなあ。
まだ乳成分が問題なく口にできていた頃、カカオマスと生クリームのみの無糖生チョコを作ったことがある。
ネタチョコだったはずが、なぜかばかうけして困惑したのであった。




