開封の儀(写真があります)
六月、ここ数年迷っていた生協のソレに手を出す決意をした。
福井県の梅、紅映の梅干し。しかも漬け代行品である。
加入している生協では、梅の時期に取り扱う品種のなかにこれがない。梅干し用はほとんどが南高梅である。あとは地元産の梅、品種不明。
紅映の梅干し自体は取扱いがあって何度も購入したことがあり、気に入っていた。
迷っていた最大の理由は、量と価格である。
特に価格は大きい。自分で材料を揃えて漬ける場合の二.五倍ほどになる。しかし、かける手間を考えれば決して高くはないのだ。
小分けの梅干しは買ってもすぐ食べきってしまうしね。
届いた箱にどよめく購入グループのかたがた。
梅干しと大書されているから「南高梅?」と訪ねられて「福井県の『紅映』って品種の梅干しなんですよ~」と説明することとなる。
皮が柔らかいから食べやすくて、けっこうおいしい。注文書に小パックの梅干しがときどき載るけれど、ほんっとーにときどきだから、漬け代行で頼んじゃった♡
という説明にドン引きされる。
うん、知ってた。毎年おうちで漬けてるから、このかた。
しかし、我が家の立地事情もご存知なので、納得はされた模様。
スーパーと建材店がある関係で、トラックをはじめとする車の通行量が多いのだ。幹線道からは外れているのに。まあ裏道だよね。
漬けることはできても干すのに条件がよくない。思った以上にベランダに砂がたまるから、風に巻き上げられて飛んできている可能性が高くもある。
向いていないことはやらないに限る。
どーん。
「運ぶの大変でしょう~」と心配されたが、内容量は米の半分である。容器(プラ製漬物樽と段ボール箱)で多少増えるとはいえ、微々たるものといえる。
ウキウキしながら帰宅、そして開封。
ちゃんと内容物は確認しなければ。
段ボール箱から出てきたのは、見覚えしかないプラ製漬物樽。
うん、同じの持ってるね。三キロ容器だわこれ。
小梅のカリカリ梅が漬けたくて、当時すぐ買える中の最小サイズだった。
小梅はカリカリにならず、消費が大変だった。以降、仕舞われたままの存在である。
そんなことを思いながらベルトを切り、添付のカードに目を通し、蓋を開け、ビニール袋を縛っている輪ゴムを外す。
樽の蓋を開けた段階ですでに梅干しの香りがしていたのが、ビニールを開けたら本格的に香ってくる。あ、よだれが。
久しぶりの赤梅干しである。自分で漬けた梅(干すのを諦めた梅漬けである)は赤紫蘇を入れなかった白梅干し。酸っぱさが全然違う。
紫蘇も酸っぱいしね。
今回は漬けるのに使った紫蘇の入っていないばーじょんを注文していた。何年後になるかはわからないけれど、次回は紫蘇入りを頼んでもいいかもしれない。
その代わり、届いたら即、紫蘇を取り出さないとはまりそうな気もする。
……やっぱり紫蘇抜きのほうがいいかもしれない……。
早速、炊きたてごはんといただいた。
二ヶ月ほどの熟成でもこれくらいのまろやかさになるのか。もっと酸っぱいと思っていたから少し意外であった。
初めて漬けたとき、干しあがり直後の梅干しを食べて口が文字通り「*」となったのを思い出したから。あれはきつかった。ビビりすぎて半年ほどねかせたくらい。
二.五キロの梅干し。自家製白梅干しもまだ一キロ弱残っている。
食べきるのにどれくらいかかるのだろうか。
梅と塩(一八パーセント)、赤紫蘇のみの本当にシンプルな保存食ばーじょんだから、取り出す際の衛生面だけ間違えなければ心配はない。
これで当分買わなくていいと思えば、安いものである。




