鬼まんじゅう(写真があります)
さつまいもの新いもが出る時期が、年々早まってきている気がする今日この頃。
なると金時の細いのなんて、盆明けにはスーパーにならんでいたからなあ。
季節感おかしくなりそう。
さて。
大ぶりなさつまいもの新いもが出てくると、作りたくなるお菓子がある。
のだが。
残暑が猛暑でしんどすぎて、まだ手が出せないでいる。
売場に出てきた芋もなぜか細身だし。
愛知の郷土菓子、鬼まんじゅう。鬼まんともいう。
作り方は、時間がかかるだけでとても簡単である。
さつまいもにさとうをまぶして、出た水で粉を溶くスタイル。
ふくらし粉などは使わないため、かためのういろうにゴロゴロさつまいもが入っているような食感となる。
もったいないおばけにごめんなさいしながら、さつまいもの皮を厚く剥く。でないと変色して黒くなっちゃうからね。細い芋のきれいなものなら皮つきのままでもいける。輪切りにして蜜煮にするようなタイプ。
一センチ~一.五センチ角の賽の目に刻み、水にさらす。ときおり水を変えながら、二〇~三〇分ほどおき、よく水気を切る。
もしも芋の色をきれいに出したければ、〇.五パーセントのミョウバン水に二時間ほど浸けておき、よく水洗いして水気を切る。
この方法は紫芋の色止め処理にも使える。
この芋の正味量を量っておく。
ボウルに、芋と芋の重量の二五~三〇パーセントの重さの上白糖を入れてよく和える。さとうが溶けるまでときおり混ぜながらおく。
なぜ上白糖かといえば、他のさとうだと溶けるのに時間がかかるから。グラニュー糖を使ってみたときは、なかなか溶けずに待ちくたびれてしまった。
黒糖を使う場合は、計算したさとうの重量の一部を黒糖に置き換える。わたしはぜんぶ黒糖で作ることが多い。
さとうが溶けたら、芋二〇〇グラムに対してひとつまみ程度の塩(芋の重量に応じて対応)と、芋の重量の四〇パーセントの薄力粉を加えて練らないように混ぜる。粉はふるってもふるわなくてもよい。
生地はパンケーキのそれよりもかたく、流れない程度にする。
芋から出た水分が少ないようであれば、牛乳を少しずつ足していく。
蒸し器にかたく絞った濡れ布巾を敷き、その上に好みの大きさに形を整えながら間隔を空けて置いていく。
生地はべったべたに手につくので、手水が必須である。別のボウルに水をはって、生地にさわる前に使う。
その辺で買える鬼まんじゅうは手のひらサイズのものが多いが、わたしはひと口サイズで作る。その方が(自分が)つまみやすいから。
しっかり蒸気のあがった蒸し器にセットし、弱火でじっくり二〇~三〇分蒸しあげる。一五分もあれば芋に火は入るのだが、生地をしっかり蒸しあげるために必要な時間でもある。
じっくりゆっくり加熱されたさつまいもはおいしくなるのだ。
上白糖ばーじょん。
上白糖の二割を黒糖に置き換えたばーじょん。
ぜんぶ黒糖の写真が見つけられなかった。撮っているはずなのに。
この鬼まんじゅうは、亡き義父のお気に入りだった。
口数の少ない人だったけれど、ときおり「さつまいもがあったら、鬼まんじゅう、作ってくれ」と。
そのためというわけではないけれどたいてい買い置きがあったから、けっこう頻繁に作っていたようにも思う。
今年はまだ「これ」という芋を見つけていないけれど、見つかったらやっぱり買ってきて作るのだ。




