出かけるとテンションあがりすぎ
正常な人はこんなはしごの仕方はしないと思う。
その日のメインイベントは、免許の更新だったはずだ。
今年の三月中旬から予約制になったため、不便になったなあと思いながら向かってみれば、どうしてどうして。これまでよりもずっとスムーズに進行した。
免許証にICチップが入っていることを初めて実感できたともいう。まさかの顔認証に戸惑いはしたが。
あまりにスムーズだったので拍子抜けしてしまい、うっかりおよそ七〇〇メートルほど先の業務スーパーを目指そうとした。迷子になる未来しか見えないので脳内で即却下されたが。
アブナイトコロダッタ……。
帰巣本能はやたら強いから帰れるといえば帰れるのだが、徘徊するには時期が悪すぎる。行き倒れてもなんだし。
素直にバスにのって駅へ戻る。
駅から徒歩五分ほどのところにある製菓材店へ向かう。買えるものがあるといいのだけれど。バースデーカードが届いていて、お店のポイントが加算できるから行っておきたかった。
しかし、作るものも思いつけなければ以前好んで買っていたものも食べられない。
なんの試練なのか。
仕方がないので水出しコーヒーを買うことにする。ここの水出しコーヒー美味しいんだけど、濃いんだよね。
駅を通り越して、存在は知っていたけれど入ったことのなかった、どんどん庵を目指す。東海地区では「ようこそサガミへ~♪」でおなじみ、和食麺処サガミの系列なセルフ式麺屋である。店舗限定でカツ丼とかあんかけスパが食べられるところもある。わたしにはどちらも鬼門だが。カツ丼はワンチャンいけるかもしれないとか、ほんのちょっとだけ思ってみたりもしたが。
本体のサガミは自身の体調問題が表面化する前から行かなくなってしまったから、正直ハラカケである。
あたたかい麺だと自分で茹でられる。茹でるといってもあたためなのだが、それでもたのしい。丼にほぐされた麺を受け取って、隣へずれたら湯の中へ麺をぽちゃん。うどんてぼで湯切りをしたら丼へ戻し、オプションを添えてお会計を済ませてから、おもむろにつゆを注ぐ。
つゆのところに赤と白とラベルがあった。よくわからんかったのと、きしめんを選択していたので白を注ぐ。白ならほぼ間違いはないだろうとふんでもいる。
なぜなら、白なら白だし(白醤油がベース)でそもそも白醤油が甘い系だからだ。赤だと普通に醤油系だから甘味をつけるために味醂プラスアルファ、つまり異性化糖に付け入る隙ができる。
おそらく、赤はそばつゆに近いだろうと予想した。
しかし、白だからといって油断はできない。白だし、ものによっては異性化糖入りなのだ。
結果は数日経たないとわからないが、味覚的に勝てたと信じている。
あらためて駅に戻り、脇のスーパーへ。帰りのバスに乗る駅脇にあるスーパーと同じだから、こちらの方が広いけれど買うものはたぶんない。
でも、品揃えが違うから見るだけでも楽しい。
電車に乗って、バスに乗る駅へ。当然のように脇のスーパーへ吸い込まれる。ここで買いたいものがあるのだ。近所のスーパーだと欲しいサイズがなく、さっきの駅脇スーパーでは同じものはあったけれどここより高かった。なぜ。
ホクホクで買い物を済ませて時計を見ると、バスの時間まで無駄に長い。最寄り駅まで行って地域のコミュニティバスに……昼走ってねえわ(昼休み
徒歩五分くらいのところにあるショッピングモールを目指すことにする。ここは向かいに自宅方面へ行くバス停がある。というかこのモールのために新設された。店内位置と出入口の距離を間違えなければいいだけだ。
モール内のスーパーをまわる。久しぶりすぎて新鮮がすぎる。
……どんどん庵行ってないでここで何か食べられるものを探してもよかったのでは。そんなことが頭をよぎったが、既に食べてしまったものはしようがない。
思い付くままにふらふらとテナントを冷やかし買い物をしていて、とうとう頭痛に気づいてしまう。
これは……、たぶんアレだ。
無意識に探していたのであろう、目に留まったタリーズへ飛び込んでアイスコーヒーを注文する。食べ物を勧められたけれど、ごめん、食えんです。
コーヒーを飲んでしばらくすると、頭痛は八割がた治まる。
やっぱり。
カフェイン切れ。とにかく朝ごはんを食べることに意識が向いていたから、普段より飲んだコーヒーが少なかった。持っていたジャスミン茶では足りなかったか。
……まさかとは思うが免許の更新でテンションあがりすぎた?(落ち着け
若干へこみながらバスに乗り、自宅最寄りのスーパーへ。
探していたわけではなかったのに、うっかり見つけてしまう明治エッセルスーパーカップ・ずんだ。
食べてみたいのに食べられない。どうして見つけてしまったのだわたし。
先日刈り上げたはずの後ろ髪を引かれながら去るのであった。
けっこう真面目にバスを利用してきたのに、なぜかスマホの歩数計が一万歩弱を指していてビビっている。
これ絶対一万歩超えてるやつじゃん。




