隠れキャラ
小中高大(大のみ途中離脱)と鼓笛隊やら吹奏楽部に所属していたこともあり、演奏会は大好物である。
本職もアマチュアも、それぞれによいもの。
陸上自衛隊の音楽隊の演奏会を聴きに行けた経験は、とてもよいものであったと思っている。現在は情報を追っていないこともあり、すっかり足が遠退いてしまっているが。
そんな中、母校の吹奏楽部の定期演奏会や母校OBや周辺の経験者たちとで立ち上げられたアマチュア楽団の演奏会などに足を運んでいる。
演者や関係者から連絡が来るから。
あまり日程を追っていないことがすっかりバレてしまっていて、彼らの中では「こいつはしっかり呼ばないと来ない」と認識されているようだ。
今回など当日早朝からLINEきたもんな。しかもこの人から連絡がきていたのはわたしだけではなかったと知って「どんだけ呼び寄せようと……」となった。呼ばれた全員が。
どうしてそこまで徹底されているかといえば、単純にわたしがマメに連絡をくれる二人以外の人と繋がっていないから。毎回忘れる。
今回も連絡先を交換するの忘れてきた。
今回はアマチュア楽団の演奏会である。
同期と先輩のOBが出演している。以前は後輩もいたのだが、退団したようだ。人生いろいろあるから、ずっといる方が難しい。
立ち上げ時からずっと現役な大先輩がいらっしゃるが。あれは本当にすごいと思う。
わたしが高校生の頃は、このアマチュア楽団の練習場所が吹奏楽部の部室だったので(現在は違うとのこと)団員のかたとの接点がそれなりにあった。その関係で、本来なら接点がないはずの三学年以上離れたOBOGのかたがたとの交流があったのだ。
普通なら、四学年離れた先輩なんて知らない。でも顔を覚えてもらえた先輩が複数いる。
たぶん、珍獣枠。
その先輩のひとりと、十数年越しでようやくお会いできた。友人経由でしばらく前に大病をされたと聞いていて、楽器を手にすることはできなくなってしまったが、裏方さんで活躍されているのは知っていたから、そのうちお会いできるだろうと高をくくっていたらこれがまあすれ違うこと。
コロナ禍で中止になったものを除いても五~六回。実に十年近くニアミスしていることとなる。
同じ会場にはいるのに。
今回は、そんなわたしの嘆きを耳にした二学年上の先輩(こちらは一年ぶり)が、すれ違い続けている四学年上の先輩を捕獲しておいてくれたので、ここぞとばかりに突撃した。
ようやく会えた先輩に、めっちゃ覚えられていた。名前は忘れられていたが。
まあそこはお互い様ということで。わたしも顔は覚えられるのだけれど、名前がなあ……。
ほぼ同時進行で、わたしの食べられないもの話に花が咲き(なんで?)、すっかり隠れキャラと化した四学年上の先輩が誘われて「行く行く行く行く行く行く!!」と食いぎみにお返事をいただき。
その様子になんとなく安心してみたり。お元気だった頃のノリとそんなに変わっていない。そこに至るまでには、相当な努力をされたのだろうなあ。
そんな風にしみじみしていたら。
「じゃあ、次は夏の魚で」
と帰っていった二学年上の先輩。
あれ、これわたしいつの間に参加確定?
え。
あれ。
いつなん?
まあ、そのうち連絡はくるだろう。




