とける季節
例年よりだいぶ遅いとはいえ、とうとう梅雨入り。
その少し前から身体は既に訴えていた。
「湿度上がってるんですけどーー。」
うん、わかっているけれども。辛抱するしかないのよ。
とにかく湿度に敗けてめちゃくちゃ汗をかく。人には勘違いをされているが、代謝がよいわけではなかったりする。ある意味代謝異常なのか。多汗症ではないのだけれど。大汗かきなだけで。
だから梅雨明けをただひたすら待つしかない。替えのタオルの準備を余分にしておかなければならない時期である。
日が照るとさすがに室温が上がりすぎるので、我慢はせずにエアコンをつける。
今年も「エアコン様様」回と同様、買い替えられなかった壊れたエアコンの強制稼働である。勝手に手配すると怒るし、昨年よりバリケードが強固になっているから、下手に動かすと雪崩れるし。
しかし、今年のわたしはひと味違う。
実家へ通う日の合間を縫って、家電屋さんへ走る。
リビング扇風機を買うのだ。夫を連れていくとやたらデザイン重視の機能性どこいった製品を選びたがるから、当然いない日を選ぶ。
うちでタワーファンなんか置いて、どこに風を当てる気だ。
昔ながらの扇風機でいいんだよ。昔よりコンパクトに片付けられるし。
もっと早く(年単位)決断するべきであった。
めっちゃ涼しい。室内の空気の動きって、本当に重要だなと痛感した。
留守時に洗濯物を室内干しにしても、乾くのが早い。助かって仕方がない。
この部屋へ入居した当初、扇風機の購入を検討したものの「どこに置くんだよ問題」が発生して見送っていた。それがなぜ、今更ながら購入に踏み切ったか。
……テレビ、あるのにつけないんだよね。
だったらテレビの前が遮られてもいっかー。となった。わたしの中で。
テレビを視たければどかせばいいし、唯一視聴している紅白歌合戦の時期は仕舞っているだろうし。いや、だろうではないな。やるのはわたしだ。
昨年の同時期とはうって変わって食事の支度がしやすくなった。やる気だけはちょっと油断するとすぐに家出するけれど。
体感温度が快適になったせいで、すっかり忘れていた。むしろ「たぶんいける」と踏んだフシもある。
特売に引っ掛かってネット入りの大袋で買ってしまったのだ、玉ねぎを。
すぐ使いきるだろうという目算もあったのだが、ちょっと外出が続いたことで献立変更が立て続けに起き、しばし放置された。
ようやく使おうとしたところ……。
「融けてるうぅぅーーーー!!!!」
実に三分の一ほどがとろけていた。みたところしっかり乾かしてあったから大丈夫だと思ったのに。その下から中にかけて融けられたら、見た目ではわからない。皮を剥こうとして発覚した。
体感温度が快適域になろうが、もう玉ねぎは冷蔵庫の野菜室に入れておかねばならない。昨年より早いな。
この場合、じゃがいもは都度いるだけ購入である。下手に余らせるとこれも融ける。それを忘れるとコバエの発生源になってしまう。存在を忘れるわけにはいかない。実家通いのピーク時に数回やらかした(一個だけ残った芋を忘れて大変なことに……)から、あの地獄はもう見たくない。
今年は昨年より暑くなる予想は正しいということだろうか。
そんなこんなで「融ける~」が口癖の季節が、またやってきたのである。
紅白のためだけに受信料を払っていると言っても過言ではないくらい、テレビをつけなくなった我が家である。
だから世の中についていけないんだろうな。




