チョコレートスプレッド
夫からすっかり柔らかくなってしまったバナナをもらったので、盛りだくさんなパンケーキでも焼こうと思い立った。熟しすぎてそのまま食べるのが辛そうなときは、バナナをくれるのだ。そのまま食べられるときに譲ろうとしても基本受け取らないしね、わたし。冷凍バナナを作りたいとき以外。
盛りだくさんといっても、お店のパンケーキみたいにオプション盛り盛りにするということではない。食べられないから。めそめそ。
中を盛りだくさんにするとは。
皮を剥いたら表面がとろけ始めていたバナナをつぶし、さとうとたまごを加えてよく混ぜる。そこへインスタントコーヒーを投入してあらかた溶かしてから、豆乳を少しずつ注ぎながら混ぜていく。
薄力粉とベーキングパウダーを合わせてふるい入れたらざっくり混ぜて、焼く。
バナナとコーヒーは食べ合わせ的にも相性がよろしいから、量さえ間違えなければ味も悪くはならない、はず。初めてやってみたけれど。
小鍋にココアパウダーとさとう、豆乳をよく混ぜて火にかけ、好みの濃度にする。
これが今回のオプションである。
食べられる豆乳クリームが見つかったのだが、これは容量が一〇〇〇ミリリットルあってどうにも購入に踏み切れない。悩みだして二ヶ月ほど経つ。手を出すのは時間の問題のような気もしているが。クリーム食べたい。
わたしはチョコレートソースが作りたかったはずなのに、洗濯機に呼ばれて干しに行っている間に鍋の中身がすっかり固まっていた。もっとゆるゆるの状態でストップしておかねばならなかったのか。
ココア入りの生地は締まる、は、どうやら生地に限った話ではなさそうだ。
そう、完成品はチョコレートスプレッドと化していたのだ。
完全に固まっていなかっただけよしとするべきなのか。
かけられないから塗るしかない。とりあえずパンケーキの上に……。うん、スプーンから外れないな、これ。なんとか乗せることに成功した。
見た目がなんか……イヤ。
昔作ったはちみつ梅シロップの梅を水で煮て戻して種をはずし、あらためて煮て作ったジャムを思い出す。色は違うけれど。あれも煮詰めすぎたんだったよな。しかもさとうを結構な量入れたのにやたら酸っぱくて、誰も食べてくれなくて消費に苦労した。
味は悪くない。
バナナカフェモカパンケーキである。予定よりバナナの賞味量が多かったからもちもち食感が強化されているが、もともとバナナパンケーキはそんなものだ。
小鍋のスプレッドはもはや移しようがなくなっていたので、鍋から直接パンケーキで拭われていくことになった。
行儀悪っ。
あえて油脂を加えなかったのがよかったのかとてもさっぱりビター系で好みなものとなったが、バターを少し加えていたらまたなにか違っていたのだろうか。
市販のチョコレートソースは食べられないものがほとんどだから、こうやって食べきり量を都度作るのがよさそうである。
次はソースにできますように。
いつ再挑戦するかはわからないから、同じ轍を踏みそうな気もしている。




