学生んときの思い出 コンビニバイト
近所にある中でも遠い方のコンビニでバイトをしていた。
近い方は募集がなくて。
どちらも、現在はもうないのがなんとも時の流れを感じる。
バイトしていたコンビニの方は、そばにカラオケ店があったのもあって、それなりに繁盛していたと思う。
建築関係のお仕事をされている方が多く住む(会社も多い)地域でもあり、なんか客層が多様でもあった。
面白いお客さんが多かった。なぜか帰省する度にやってくる同級生もいた。ゲームセンターに来たついでに寄ったとは聞いた。一度同じクラスになったことがあるだけで、挨拶以外で接点なかった(用事なかったし)と思うんだけどな、あの人。
わたしは普通に接客をしていたはずだ。なのに、なんかやたら絡まれた。
おそらく罰ゲームでやってきたお兄さん。買った牛丼を接客マニュアルに沿って温めるか訊けば答えてくれるのはいいんだけど。
「あ、冷やして」ニヤニヤ。
そうくるか。
――受けてたつ。
たぶんこのとき、なんかイラッとしたんだ。
「だいぶお時間いただくことになりますが、よろしいですか?」
「えー(不満そう)、どれくらい?」
「そうですねえ……短めに見積もって二時間くらい? かな?」
「は?」
「? 冷やすんですよね?」
「本格的にとなると、やっぱりひと晩くらいはほしいですねえ」
「え……どうすんの、それ」うん、お兄さんちょっと不安になってきたね。
「そこの冷凍庫に。業務用と思われるので、家庭の冷凍庫よりは早「やっぱいいです、あたためてください……」はい、温めですね。かしこまりました」
遮られちゃったよ。「早く芯まで冷えると思います」まで言うはずだったのに。まあひと晩入れたら凍るけど。ガッチガチに。
レジ脇のアイスのケースか、奥の冷凍食品の棚に放り込んでやる気満々だった。
だって温めるより冷やす方が時間かかるんだよ!
これ、変な客対応でなく完全に素で言っていたため、一緒にシフト入ってた人にドン引きされた。ひどい。
ものすごく真面目にたくさん考えたのに。
冷やしの要求は、割と多かった。今はない葬儀屋のおじさん(たぶん夜勤の買い出し)とか。顔見知りになった常連の工場勤務のおじさんとか。
工場のおじさんには「おうちで冷やした方が、また取りに来る手間がなくていいと思う」と返してたり(今だと怒られるのかな?)。
葬儀屋のおじさんには「冷やすのは承っておりません」と丁寧にお断りしたりした。あんたらは仕事せえ。
ある日は、はじめましてのおばあさん。
会計中にいきなりわたしの手を取って「あなた、平安時代なら美人だったのに!」
――さすがにそれはナイ、のでは……?
咄嗟に返せず、へらりと笑ってお礼を言うしかできなかった。
髪が長いからだとは判ってたけど、長ければいいってもんじゃないと思うのよ、おばあさん。
……もしかして、まぶたが奥二重なの関係してる?
ほかにもいろいろあったものの、衝撃の強さにハッキリ覚えてるのはこのくらい。
あの当時もそれなりにやること多かったから、それより多種になった今のコンビニでは働ける気がしない。
いろんな人の対応しないといけないから、接客のお仕事ってほんと尊敬する。




