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タンドリーチキン風

サブタイトルの「タンドリーチキン風」。なぜ「風」か。

タンドールがないから。

イベントなどで屋台のカレー屋さんをみたことがある(というか買った)から、移動式のタンドールがあることは知っているのだが。


どこに置くん?


そこには冷静な自分がいた。デスヨネー……。

今住んでいるところなんか、基本がクッションフロアーだし、ベランダは共有部分だから置けるわけがない。そもそもうちのアパートのベランダは諸々条件がよろしくない。洗濯物はよく乾くけれど色褪せもすごい。

その辺の(住宅密集地なのに)庭や駐車場でバーベキューをする人々と同じになってしまう。よく煙にまかれているから、それは嫌なのだ。


というわけで、漬け込んだ肉はフライパン焼きをする。だから「風」。


ところが数年前に、かなり気に入っていた(今はもう食べられない)カレー屋さんで、長らく気になっていたメニューについて訊いてみる機会ができた。

とてもよく似た見た目のふたつの料理「タンドリーチキン」と「チキンティッカ」があったのだ。

片方のお店は店員さんがあまり日本語を話さないかた(最低限の接客はできる)だったため、もう片方のお店の発音はたどたどしいけれどしっかり話すかたに訊いた。


同じに見えるのだが、どう違うのか。


「同じです」

鶏肉であること、調味液が同じであること、タンドールで焼くこと。そこは共通している。

では何が違うのかといえば。


「骨があるか、ないか」


骨付きチキンだとタンドリーチキン、骨なしチキンならチキンティッカなのだ。

思わず口をついて出てしまった「え、それだけ?」。

お兄さん、困惑させてごめん。

でも冷静になってみれば、ちょっとの違いで呼び名が違う料理って世の中にあふれている。そのひとつだということを、わたしはなぜ受け容れられなかったのか。


いつまで経っても思い込みって、こわい。



なぜ突然こんなことを言いだしたかといえば、わたしがコロナでダウンしていた間に、代わりに食事作りをやってくれていてうきうきで鶏肉を漬け込んでいた子が、焼く直前に発症して入れ違いでダウンしたなと思い出したから。

漬けるだけ漬けて、食べられなかったのだ。


おいしかったです(酷


あまりに気の毒だったから治ったら改めて作ろうと思っていたのに、気がついたら二ヶ月も経っていたよ。時が経つのが速すぎる。

そんなわけで、骨なし鶏もも肉をヨーグルトベースの調味液に漬け込んでおいた。



あれ、タンドリーチキン風でなくて、チキンティッカ風じゃないか?


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