おあげ煮るわよー
売っている味付け油揚げがだいたい食べられない。カップうどんのきつねも無理。カップ麺はそれ以前の問題(スープ)もある。
生協で取り扱っているいなりあげに一種類だけ食べられる品があるのだが、これが運の悪いことに「これじゃない」のだ。
ならどうするか。作るしかない。作り方、知らないわけじゃないしね。
面倒くさがって作らずにきたけれど、どうしてもいなり寿司が食べたい病に罹る。
おいなりさん食べたーい。めんどくさーい。
おまえがいちばんめんどくさいんだよ。と、冷静な自分が言っているような気もするが、そのへんは聞かなかったことにする。
この食べたい病、ちゃんと食べるまで治らないから厄介である。
仕方がないから煮ましょう。
油揚げを買い込んでくる。
大きめの鍋にたっぷりのお湯を沸かし、油揚げを入れて茹でる。湯通しして油抜きをするのだ。お湯をかけて油抜きをする方法もあるが、こちらは少ない枚数のものの方が効果があると思っている。
このひと手間があるだけで、おあげは上品な味に仕上がる。
茹でた油揚げは水で洗いながら、丁寧に作るなら両の手のひらで挟んで水気をしぼる。「煮れば一緒じゃーん」とぎゅっと握ってしぼったわたし。
しわしわ。
ひと手間の意味よ。
鍋にだし汁、さとう、しょうゆを合わせる。このときびっくりするほど入れるが、さとうをけちってはいけない。とりあえず火にかける前にさとうを溶かせるだけ溶かしておく。
そこへ水気をしぼった油揚げを入れて、火にかける。
落し蓋をして煮汁がほどほどになくなるまで煮る。
この落し蓋がくせ者で。油揚げを煮るときはちゃんとした木の落し蓋をした方がよいと思う。木でなくてもちゃんとした重さのあるもの。
以前は持っていたのだけれど上手に手入れができなくてダメにしてしまったからオーブンシートで代用したのだが、煮ているうちに油揚げが膨らんでくる。それによって最悪煮汁が吹き零れてしまうのだ。押さえってだいじ。
ほどよく煮えたら火を止めて、おあげに煮汁をふくませる。
そして、おもむろにきしめんにのせる。
きつねきしめんできたよ。
……いなり寿司の話をしていたのではなかったか。
そうなのだけど、おあげを煮ていたときはごはんがなかったのだ。
その後ちゃんといなり寿司は作った。
中身は寿司飯ではなく、素を使ったちらし寿司。家で作るときはこれ。
かるく汁気をしぼったいなりあげを半分に切り、開いていなければ破らないように気をつけながらやさしく開いて、寿司飯を詰める。入れすぎると食べるときにたいへんだから、ほどほどに。
半分くらい裏返してみたりなんかもする。目先を変えて黒ごまを乗せてみたり。
満足したのだけれど、いなりあげ余ってるんだよね。
あまり日保ちするものではないし、なにしよう?




