クグロフ(写真があります)
クグロフ。オーストリア周辺地域の発酵菓子である。
外側に斜めの溝がある蛇の目型を用いて、レーズンなどを加えたブリオッシュ生地を焼いたもの。
かのマリー・アントワネットがオーストリアからフランスへ嫁ぐときに持ち込んだともいわれるものであり、実際言ったかどうかもわからない「パンがないならお菓子を食べればいいじゃない」のお菓子はこのブリオッシュを指すとも言われている。
しかしこのブリオッシュ、サバランという洋酒入りシロップをたっぷりしみ込ませるデザートに加工したりもするだけあって、バターや卵、砂糖を多く使ったリッチ生地だけどそう旨いもんでもないよな……なんて思っちゃったりもする。すぐパサつくし。
市民が求めたパン(おそらく白パン)よりは劣るんでは?
そんなブリオッシュ生地ではあるが、このようにクリスマス菓子になったりもするわけなのだ。
卵といっても使うのは卵黄だから、本体黄色いね!
これは「シュトレン」回の冒頭で紹介しているラム漬けレーズンをたっぷり入れたクグロフである。型の底のくぼみにアーモンドをひと粒ずつ置いておくと、このような見た目に。粉糖を振ったはずなのにいない謎には目をつぶる。
購入した型がそのときお店に一台しかなかったので、一度に一台しか作れない品となってしまった。しかしこの型がよかったのだから仕方がない。
こちらは、じっくり発酵させるためにこねはほどほどに、隙間を少なくするべくラップできっちり包んだ生地をビニール袋に入れて、冷蔵庫へ入れておくレシピを使用している。取り出したときのパンパンさには、毎回感心する。冷蔵庫でもしっかり発酵するんだもんなあ。このパンパンになった圧力が、こねの代わりなのだ。
クグロフ型は、クグロフそのものが一説によると陶器職人の作ったものとされるものがあるせいか、陶器の型もけっこう多い。割る未来しか見えなくて手を出せないわたしである。アンティークの陶器型は、素敵な柄のものが多い。飾るだけでも気分はよいと思う。
そして型のデザインによって外側の斜めの溝がかなり違い、好みのものに出会えるかどうかは運次第なところがある気がする。
そんなわたしの一目惚れした型はブリキ製。
クグロフだけではもったいなくて、パウンドケーキをこの型で焼いたり、モンキーブレッドを焼いたりした。モンキーブレッドは、生地をバターと砂糖を溶かしたシロップにくぐらせてから型におさめて焼くちぎりぱんの一種である。




