シュトレン(写真があります)
涼しくなってくると、ドライフルーツの仕込みから始まる冬の準備。
カリフォルニアレーズン、サルタナレーズン、グリーンレーズン、カレンツ、ドライクランベリー、ドライフィグ(いちじく)、ドライアップル、ドライパイン。
サルタナレーズンとドライクランベリーは、原料都合で油脂が使われているものが多いからさっと湯通しして油分を洗い流し、ペーパーで拭き、ざるにあげて少し乾かす。
ドライフィグは大きめに刻む。ドライアップルとドライパインはシュガーコーティングされているけれど、まあいいやそのままで。この辺は入れなくてもいい、お好みで。
清潔な瓶にドライフルーツを詰めたら、ラム酒をどぼどぼと注いでいく。よく吸うからとにかくたっぷりと、フルーツが液面に出てこないように。
蓋をして、冷暗所へ保存。
使う前にラム酒の汁気をよく切って。
なんの準備をしているかといえば、シュトレン用のラム漬けフルーツである。
シュトレンに限らずクグロフに入れたり、フルーツケーキにしたりと用途は様々、あって便利な保存品。
そのままラムレーズンとしても食べられるしね、もれなく酔っぱらうけれど。
そう、シュトレンである。ドイツのクリスマス菓子。単語は「坑道」を意味するのに、形の由来は赤子のおくるみという謎の菓子でもある。
バター多めの発酵生地にラム漬けフルーツやナッツを練り込み、おくるみの形に成形して焼き、ちょうたっぷり溶かしバターと砂糖でコーティングして日保ちを実現するという、作ってみるとバターの量に目眩を覚える品でもある。
コーティング用に業務用バター(四五〇グラム)一本溶かしてたもんな。何本作ってんだよ。二本だよ。恐ろしい。
あれは本体よりコーティングの方がバターがすごい。クロワッサンの本体より折り込みバターの方が恐ろしいのと似ている。うん。
レシピによっては、おくるみ状に成形する際にマジパン(アーモンド粉と砂糖と卵白を混ぜてかためたもの)を棒状にして包むものもあるが、わたしはこれがあまり好きではないので入れたことはない。
色味的に、ここへドレンチェリーやアンゼリカを加えたりもする。わたしはどちらも好みでないので入れていないが、あると赤や緑が映えてきれいである。
コーティングまで済ませたら、粉砂糖をたっぷりまぶしてラップで包む。
できたてもいいけれど、フルーツが馴染んでからの方が美味しいものなので、ひたすら辛抱の日々を送るのである。
アドベント期間(クリスマスイブから数えて四週間前)になったら、薄く切り分けて少しずつ食べていくスタイル。
濃いめに淹れた紅茶といただくのが好きである。
だいたい早くから食べちゃうけどね! 待ってなんかいられない!!
あードライフルーツがかたよってるーーー。
毎回気にはしているのだけれど、毎回かたよる。手の癖かな、これは。もう仕方がない。
洋酒漬けフルーツが苦手なら、蜂蜜漬けという手法もある。
こちらは主にミックスナッツ。から炒りした好みのナッツのブレンドにドライフルーツを加え、かるくあたためて糖分を溶かした(七〇度を超えると風味がなくなるので注意)蜂蜜を注ぐだけ。
使うときによく蜂蜜を切って加える。これで作ったシュトレンもまた美味である。
うう、食べたい。たべたーい。
売っているシュトレン、原材料的に食べられないものが多すぎて。自分で作るにもこのバター量ではもう厳しいなあと思っている。




