ようせいが あらわれた! いいよこなくて
一週間ほど続いていた発熱からわたしがようやく抜けたところで、今度は子がダウンした。わたしのときより熱高いな。
自分の再診ついでに子も受診できるように調整し、出かける。
「周囲でインフルエンザとか流行っている話はある?」
「いえ……」まて、子よおまえのその「いえ……」が適用される「周囲」はどこだ。
「お話ぶったぎってすみません。わたしからうつったと思われますコロナが」
「……ああ!」
誰だよ先に子の診察することにしたの。ああ症状強い(発熱)からか。
「息子さんの検査の結果を待ちながら、お母さんの」「出ましたー」はえーよ。
声、出なくてよかった。
子のところにもやっぱりきちゃったよ、ようせいさん。こなくていいのに。
子はもうわたしのときと同じ流れで「一通り(お薬)出しときますねー」となり、わたしは溺れそうだった水っぱなからおそろしく粘りけの強い黄ばなに変わったことを報告。発熱を放置したことと洟の変遷により喉の痛みがなくなったと思われるのだが、免疫系が仕事をしているのか違う菌が悪さをしているのかが判断つかんので抗生剤を処方されることに。
いやなんかこれ(薬)、見覚えしかないんですけど。
ちょっときつかった記憶が脳裏をよぎる。まあいいか、どうせ実家は行けないし。
「念のために、確認しておきたい」体を装って訊いてきたところによると。
コロナ発症五日後、あるいは解熱後二日、は「政府が言ってるだけだからね」とのこと。まあそりゃそうだよな、風邪でもそんな簡単には治らんし。
経済活動優先のための策でしかないこと、わたしの目的が「後期高齢者の通院付き添い」であること、この場合の診療科目はなんでもよろしい。回数が多いのは整形外科だが内科(しかも老人医療のクリニック)も行くし、ということで、はっきり告げられたのは。
「二週間『は』空けてください」
デスヨネー。
カナ書きしたけれど、とても素直に納得できる説明であった。
うん、まあしょーがない。たかが風邪されど風邪。ただの風邪とは思ってこなかったが面倒くさい風邪ではあったなという体感。
正直なところ、この程度で済んでいるのは運がいいだけだとも思っているし、まだこれで治ったわけでもない。
めっちゃ食欲はあるのだが。欲があるなら大丈夫だろう。
とりあえず、動けるようになったからには子を労おう。
慣れない食事作り(買い物から)に奮闘してくれたからな。疲れも出たのだろう。
プリン、ゼリー、杏仁豆腐、アイス、スポーツドリンクなどを買い込み、拗ねるやつがいそうだなとシュークリームとエクレアと惣菜のフランクフルトを買い足す。
わたしはなに一つ口にできないのが悔しいが、言ってる場合でもない。とりあえず子には口にできそうなものをハラにおさめてもらわねば。
なくなっていたキャベツとほしかった白菜(あえてのカット品)も買って。
お、重……っっ。
そういえばまだ病み上がりきってなかったんだっけ、わたし。
子がダウンすると動転するな。
フレンチトーストを仕込もうと思って食パンを買ったのに、卵を忘れたのに気づいたのは帰宅後であった。
明日の特売で買おう……。
実家に電話すると絶句される。うん、まあそうなるよね拡大したし。そもそもまさか自分がだったし、昨日まで子、元気だったし。ウキウキしながらタンドリーチキン仕込んでたのに食べられなかったんだぜ彼……。
整形外科のご老体はなんとか通っている模様。なんとも複雑な気持ちではある。
おまけ:調剤薬局の薬剤師さんは、もしかしたら天然かもしれない。
お金を払うとそのまま去ろうとしてしまう。
「すみませんお兄さん! (小声)お薬ください」
「あっっ! また同じことをしてしまうところだったっ!」
以前のおっちゃんは以前処方された薬で謎の副作用が出たつってんのに「ありえない」とかぶったぎる人だったからたまにイラッとしていたのだが、今度のお兄さんはちょっと心配になるな。
大丈夫か。




