ペットショップ(挿絵があります)
あとがきに、いただいた挿絵を載せています。
仔にゃんこが見たくて、時折ペットショップへ行く。
言い訳をするとペットショップが主目的ではなく、出先にあったら迷わず寄る程度の目的具合ではある。
高校生時からの付き合いの友人(同い年)と出掛けたとき、ショップのお兄さんが仔猫を抱っこさせてくれたのだが……。
まず友人が抱かせてもらい、堪能したあと声をかけられたわたし。
「お母さんもどうですか?」
ん???
その場はそのまま流したものの、ショップを出てから友人が呆然と言う。
「今のお店の人……。穂積ちゃんのこと『お母さん』って……?」
「言われたね……。びっくりした」
「だよね!? 聞き間違いじゃないよね!?」
白髪か、白髪なのか。
当時は三十代だが、二十代ですでにメッシュ状のひと房白髪という謎の髪色になっていた。染色はしていない。
「お母さん」に驚いたあまり、抱っこしたはずのにゃんこの記憶が残らなかったという、非常に残念な話となった。
そして四十代。
子と出掛けたときに立ち寄ったショップで、デビュー前の仔にゃんこを人馴れさせるために、たくさんの人に抱っこしてもらっているとのことで、声をかけていただいた。せっかくの機会なので抱っこさせてもらうことにする。
まず、子から。布にくるまれた仔にゃんこ、元気に抵抗する。うごうご。
猫大好きなのに大いに抵抗されたことでかなり落ち込む子であった。
どんまい。
そのまま流れるようにこちらへパスされた仔にゃんこ。渡された直後はうごうごしていたものの、体勢が安定するなりめちゃくちゃおくつろぎモード。
ショップのお姉さんがたが寄ってきちゃうくらいの異常事態。
「こんなに安心するなんて……」いやね、本人がいちばん驚いております。
ショップのかた相手でもここまでではなかったとか。
でも猫さんあまり寄ってきてくれないのだけどな。
あ、寝た。この子はおーものの予感がする。
デビュー前なのに「この子いかがですか」て,最初に言ったけれど住んでいるところはペット不可物件。
「ペット可物件にお引っ越しして、是非!」じゃねえんですわ。やれるならとっくにやっている。
起こさないようにそっとお返しして、残念そうなお姉さんにお礼を言ってショップを後にした。
あの子にはきっとよいご縁があったであろうと想像する。
最近は全然行ってないな、ああ、そもそも出掛けていないのか。




