さいきょうのつけもの
開封済みの西京味噌が冷蔵庫に眠っている。ひと月ほど前から気にはなっていた、そろそろ使いきりたい。
しかし、西京味噌は西京漬けでしか使わない我が家。なにを漬けるかが決まらなくて、結局放置されていた。
そんなところで、秋鮭が特売価格なのを見つけた。記憶にある底値にはほど遠いが、そんな価格で入手できるまで待っていたら永遠に食べられない。ここ最近で最安値であれば、これは買いである。
切身に塩をしてそこそこ置いておき、水気をよく拭いたら味噌床に漬ける。
ただこれだけのことであるのに、渋皮煮と格闘していたせいで塩をしたまま忘れ去ってしまい、一日半放置した。
……塩鮭?
正確には塩鮭未満である。しかし生鮭と比べたら多少ましかな? 程度に余分な水が抜けて、気持ち保存性は上がったかもしれない。ほんの気持ち程度に。
味噌床の基本形は、西京味噌二〇〇グラムに砂糖小さじ二、酒大さじ一、みりん大さじ一。これが王道なのだが、わたしはここにしょうゆを小さじ一~大さじ半分くらい加える。ちょっと風味がつく程度。入れすぎると味噌が負けるし、しょうゆの色がついてしまうのだな。
余っていた西京味噌は三〇〇グラムあったから、おおむね一.五倍で調味する。しょうゆは大さじ半分で。
味噌床に漬け込んだら、二~三日ほど置いておく。一~二日ほど経つと魚から水分が出て味噌の上に出てくるから、キッチンペーパーなどで吸い取っておく。そのままにしておくと傷みやすいため、ここは丁寧に除いておきたい。
三日以上は何日漬けておいても変わらないから、味噌から引き上げる。ゴムべらなんかで味噌を丁寧に取り除く。水洗いする場合もあるが、その後きちんと水気を拭いておかないと味が落ちる。冷凍保存するなら洗わない方がよいと思う。
さて、焼きであるが、わたしはこれが苦手だったりする。漬け焼きは焼き加減がむずかしい。味噌すぐに焦げるし。
グリルで焼くのは早々にあきらめた。予熱後は最弱火にしているのに炭化しすぎなのである。腹立つ。
仕方がないのでフライパンにオーブンシートを敷いて焼く。
まって。オーブンシートってくっつかないんじゃないの? なんでくっつくの?
西京漬けのみならず、ほっけの干物もししゃももメヒカリも、みんなくっついた。なぜ。
不器用とは関係ないよな、たぶん。
何度も魚をボロボロにし続けてどうしようもなくなったので、とうとう「くっつかないホイル」なるものに手を出した。これでダメなら人生に絶望する。
とても快適になった。
これからはこれで焼こう。フライパンにくっつかないホイルを敷いて、西京漬けを焼く。
残った味噌床は二~三回程度再利用できる。回数を増やすなら、味噌床の材料を足しながら継いでいく。
敢えていえば、魚から始めたら魚で、肉から始めたら肉で統一した方がよい。ギリギリいけるのは、魚から始めて豚肉。
魚、魚、鶏もも肉で漬けたら、最後の鶏肉が不思議な味になった。なんか違う。豚肉だと割と誤魔化されてくれるようだ。気前いいな、豚肉(そうじゃない
最終的に味噌床の味噌は調味料としても使えるとされているのではあるが、好みの味でなく断念した。あれかな、わたしには甘すぎるのかな。
ちょっともったいなく思いながら処分している。
鮭のほかに、さわら、さば、すずきなどをよく漬ける。
高級路線でいくなら鯛や金目鯛。
売ってる西京漬けの魚の種類を調べたら間違いないと思う。




