脱皮
水槽の中でだけ強気なうちのクサガメさん一九歳ではなく、わたしの話だが。
カメさんの脱皮と黒化は順調過ぎるほど順調である。ライト万歳。
そのライトにはわたしの目が敗けているが。カーテンにUVカットのものを使っている以上、爬虫類用のライトは使わざるを得ない。外に出すとからすにさらわれそうで。
十数年前に三年ほど続けて折り畳みの晴雨兼用傘の骨を突風にだめにされて以来、日傘を避けていた。その代わり、帽子はかぶっていた。
視界が遮られるのが気になり、ハットからキャップへかえてから、それは起きた。
日焼け。
キャップのブリム(日除け部)だけでは顔がカバーしきれない。できて目の下までで、側面なんて防御力ゼロである。
「日傘なあ~~~~……」とつぶやきながらとぼとぼと歩く日々。
エアコンの乾燥と日焼けのダブルパンチで、顔が脱皮する時期がやってきた。化粧水とか乳液とか、つけるそばから汗で流れ落ちていくから諦めたのもよくない。
入浴後、体を拭いているはずなのに汗が吹き出てくるからいつまで経っても拭き終われないからなあ……。頭と手足を水で締めてから出てこれである。
汗かきが過ぎる。
日常で、ひたすら汗を拭いているのもよくないな。押さえているつもりで拭っているから、摩擦で肌が荒れる。
結果、どうなるか。
皮膚がめくれてくる~~日焼けの脱皮と一緒~~。
「うわーん、カオが脱皮してるぅ~~」と嘆けば「育つの?」と返してくる家族。
え、デカくなるの? これ以上育っても困るんだが。
ついでに顔の側面にシミが増えた。それはまあいいのだけど(いいのか
やっぱり日傘要るなあ。
頑丈なのがほしいなあ。
などとやっているうちに、エアコン敗けしてノドがやられた。エアコンを一度つけたらほぼ止められない環境なのが災いしているのと、寝ている間に口が開いているのも一因である。口開いて寝るのは子どもの頃からだからなあ。大口でないのだけが救いである。
ノドの痛みに気づいたときは一瞬焦る。
ご老体の付き添いで複数の病院へ行っているから、病院によっては風邪様の症状があるとマスクをしていても入館禁止を食らったりする。一軒そういうところなのだ、老人医療がメインのところだから。
痛みが強くなるわけでもなければ、移動するわけでも広がるわけでもない、ノド手前側のヒリヒリは、乾燥からの粘膜の荒れと判断。汗が止まらないけどマスクをし、黒飴を口に含む。
蜂蜜一〇〇パーセントキャンディのこともあったけれど、しばらく前から蜂蜜を摂りすぎるとハラに影響が出るようになっているので控えている。不便になったなあ、ほんと。
ノドは三日で治った。よかった。




