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11 そんなことより聞いてくれよ

歴史上の偉人織田信長。

ぶっちゃけ、日本史でこれに匹敵する人って坂本竜馬くらいじゃないか?って思うわけだが、それだって、匹敵する可能性がある程度。

で、現代に生きたオレにとって、この覇王のあまりクローズアップされない危険性に対処しなければならない。


年の若い

寺出身の

色白の男


ここに、森蘭丸というファクターを投入すると。恐ろしい化学反応が!?

アッー!


そんな…見目麗しい穢れを知らない純真なボクは、魔王のような中年親父に食い物にされるのね。薄い本のように。薄い本の様に。


はい、現実逃避です。



とりあえず、年明けでびくびくしていたが、即座に呼び出されるようなこともなく、殿も通常運転で岐阜へ行ってしまった。面会のときは手紙で呼ぶってさ。


脅かすなよ。


そして、年が明けても、オレだって暇というわけではない。

いや、正確に言おう。計画上は暇になるはずだったのだが、暇ではなくなった。


元亀2年5月

『長島侵攻』


つまり、一向宗に奪われた伊勢長島を取り返すため、織田が攻め込むらしい。

まあ、伊勢長島は、織田の本拠地尾張のお隣さんだし、脅威とみられるから早々に取り払いたいよね。で、その指揮官の佐久間さんからしっかり名前を憶えられた荒子城に、兵糧の追加要求とかが来るわけですよ。


こちらの都合を考えずにな!


こっちが、商人さんとお米売却の値段交渉している時に、こんな手紙が来るわけですよ。

こっちは、複数の商人と渡りをつけて、値段交渉して、高く買ってくれるところには多くのコメを、そうでない所には少ないコメをと売却値段の割合計算していた所に、「お米追加でヨロ」の手紙ですよ。


年末デスマーチして在庫確認して、売却兵糧計算した努力がパー。

もうね、アホかと。馬鹿かと…


すでに売買契約(口約束も含む)は確定として、交渉中の所はわざと態度を硬化させて、破談…はまずいから、数を減らす。足りない分を備蓄分から出して…

ぶっちゃけ、全部備蓄分から出せば、どこにもしこりは出ないのだが、そう簡単にできない理由がある。


米商人とは保管業者ではなく売買業者だ。

米商人も当然、米を安く買って高く売ることで利益を上げている。

当然、大量売却される秋は米が安く。その後徐々に高くなっていくわけだ。


なんで、安い秋に売るかって?年貢は秋で、年貢で1年分の米を集めるわけだろ?

帳簿上の数字と違って、物理的荒子城の許容量ってものがある。1年分の年貢のすべてを過去分と合わせて保管するには限界があるんだ。

だから、オレが一生懸命在庫管理しているわけだ。米は穀物だ。時間と共に劣化する。古古古古古古古古米なんて聞いた事ないだろ?それもう食べ物じゃないだろ。そんなものが、タイムカプセルよろしく倉の主みたいに鎮座していて、その結果、新米を安く放出しなきゃいけないとか、どんなコレクターだよ!?って思うだろ?


米商人だって馬鹿じゃない。新米と古古米があったら新米を買う。

つまり、新米は販売用にするのが一番利益があるわけだ。

しかし、大殿に提出する兵糧や、織田家プロジェクト(戦)に提出するお米を食べて、体調を崩す人が現れたらどうなるか?お叱りどころか利敵行為だろ?

つまり、そっちに回すコメは、安全確実で美味しい新米である必要があるわけだ。

キャー新米さん人気者ー。


つまり、倉の中の新米は一定量確保する必要がある。戦がどれだけあって、その為にどれだけ提出する事になるかわからないからだ。

足りなくなったら、購入する必要があるわけだな。


安く売った米を、高く買い戻す必要が出てくるのだ。



この差額を世間一般で損失と言います。



はい、倉の中の新米を出さずに、売却するのは、買い戻す際の損失を抑える為なんですね。



どうみても、タイミング悪いだろ。温かくなるまで待てよ。

と、現場の一奉行が言ったところでどうにかなるわけもなく。


年明けもデスマーチは継続だ!


お前らな、古古米やるからそれもってけと、倉ってのはな、もっと整然としてるべきなんだよ…


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