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資源が有ることで 幕下付出

金剛はどうなるのか。修理か廃艦か。

 日本は緒戦に勝ったことで、ヨーロッパ方面でアメリカと交渉を持ち講和を呼びかけた。当然無視されたが。



「トラック沖海戦は辛うじて勝ちと言って良いが、損害が酷すぎる」

「戦艦は陸奥と比叡を失いました。巡洋艦も三隈と鈴谷が、駆逐艦は夕雲・早潮・浦風・磯風が失われました」

「金剛はどうなのだ。もう工廠で見積もりが出ただろう」

「それが、大分酷いです。水線下と機関には損害がありません。全力発揮可能です」

「上が良くないか」

「良く沈まなかったと言えるくらいです。1番砲塔大破です。爆砕という報告です。装填前の装薬が引火爆発。弾火薬庫に火が回らなかったのは運が良かったと。砲弾が薬室に入っていたのが良かったのではと言う話です。影響は1番砲塔ターレットに歪み。これは砲塔基部からばらさないといけないと。2番砲塔はその衝撃でターレットから外れました。ローラーに傷が付きこれも砲塔を外してみないと分からないと。4番砲塔は旋回不能です。3番砲塔に損害が無いのが幸いでした」

「3番砲塔だと機関室の上だからな」

「艦橋は三戦隊司令部ごと失われました。他にも多数有ります」

「本当に浮いてるのが信じられないな」

「12インチ砲防御も怪しい艦です。16インチ砲では耐えられません」

「それで修理期間は?」

「修理よりも解体した方が良いとのことです」

「はあ?」

「修理には2年近く掛かるだろうと。それなら新造の方がマシだとも」

「そんなか。しかし、船としては問題ないのだろう」

「走らせるだけなら問題ないそうです」

「そうか。考えてみる。工廠にはドックに入れないように言っておいてくれ」

「了解しました」

「大和は1年か」

「3隻からの集中射が酷い損傷になりました」

「頑丈さは証明されたな」

「18インチ砲防御です。16インチ砲なら相当数打ち込まれないと」

「廃艦まで行く損害で無くて良かったな」

「本当です」

「出羽と伊予、長門は中破で3ヶ月から6ヶ月か」

「修理用ドックの関係でもう少し掛かるかも知れないとのことです」

「加賀と飛龍も有るか。その間、戦艦は伊勢・日向と霧島・榛名か」

「霧島・榛名は空母の護衛です」

「2隻は頼りないな。扶桑・山城は出来れば出したくない」

「2ヶ月後には安芸と常陸が加わります」



「こいつはよく持ってきたものだ」

「浮いてるのが信じられない」

「どうする気だろう」

「そりゃあ修理だろ」

「まあ見てみるか」

「その前にヨークタウンだ。先に修理しろとさ」

「使える空母がレディ・レックスとエンタープライズしか無いんじゃ急がされるな」

「そういうことだ」



「艦隊としては金剛を活かしたい」

「しかし修理は相当掛かります。こう言ってはなんですが、あの古い戦艦にそこまで掛けるのは」

「分かっている。戦艦として使おうとは思わない。撃ち合った結果がこれだ」

「ではどうされるのですか」

「空母にしたい」

「空母ですか。確かに足りないですね。しかし、時間が2年近く掛かと思います。やる価値はどうでしょう」

「なに、正規空母に準じろとは言わない。練習用空母にしたい」

「練習用ですか」

「搭乗員だけでは無く、空母要員の養成も行えるようにして簡易構造で良い」

「それなら早いと思います」

「どのくらいか掛かる。概算で良い」

「そうですね。1年で出来ると考えます。格納庫は10機程度でエレベーターが1基でよろしければ」

「本当に簡易だな」

「艦橋も数人で一杯な大きさでやります」

「速力は出るらしいからな。正規空母並みの速力で発着艦訓練が出来る」

「努力します」

「頼む」



 1年後、金剛が空母として生まれ変わった時。依頼した長官は驚いた。簡易構造なのだが、試したい技術や試案をてんこ盛りにされていた。


「ご説明します。まず時間が有りませんので、最上甲板は右舷側を煙路になる部分以外そのまま残してあります。勿論被弾した箇所は修理してあります。

 3番砲塔と基部は撤去しました。さすがに高さが有りすぎました。兵装はケースメートの副砲も含めて全て撤去。

 次いで、煙突を右舷まで伸ばしました。右舷が煙突で塞がれ格納庫として使えませんので左舷を拡げて格納庫にしてあります」

「うむ。良く分からん」


挿絵(By みてみん)


「長官。俯瞰図です。船体は金剛のままですが、艦橋と煙突を右舷飛行甲板外側に張り出して設置しました。煙突は立てて傾斜させていますが、効果が確認できなければ以降の空母では直立とします。中心線から左舷が広いのは最上甲板と煙路が邪魔で通常のように航空機の移動が出来ません。航空機の移動は左舷上甲板から上を格納庫としています。オフセットエレベーターとたいそうな名が付いていますが、ただ単にそこでないと航空機を格納庫に下ろせないためです。舷側エレベーターは以前から考えられていましたが、波浪の影響と構造強度の問題が疑問になっておりましてこの艦で実際に確認してみようと考えました。斜行着艦実験装置は斜めに着艦させることで、発艦も同時に行えるのではと言う発想からです。角度はどの角度が良いのかこの艦で確認します。呉式空二型カタパルトは空気式ですが、コンプレッサーの大型化と複数使用により急速発艦も可能となっております。装置は前部弾火薬庫に押し込めてあります。つ「待て、少し落ち着かせろ」‥」

「はっ」

・・・・・・

「つまり、やりたいようにやったと」

「詰まるところそうです」

「なんてことを……」

・・・・・・

「俯瞰図は配置図ですので実際の縦横比は違います。飛行甲板幅は三号艦と同じにしてあります」

「三号艦は3ヶ月後に進水予定だな。三号艦もか」

「あの艦も上物は設計変更なので、その間ドックを占拠していました。ようやく空きます」

「そうではなくてだな」

「はい。三号艦もエレベーター配置はこの艦に近いです」

「大丈夫なのか」

「お任せ下さい」


(不安しかない)



次回更新 11月18日 05:00


次回もストーリーではありません。

ストーリーは書き直しております。

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[気になる点] 思い付いた事を詰め込み、急ぎだったので雑な空母化で手を打ったと。
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