資源が有ることで 三段目
この回は盛大な勘違いをやらかし慌てて書き直したので、いつも以上に変な文章になっていると思われます。
たいして変わらないと言われればそれまでなんですが。
「緒戦は勝ったか」
「第一目標の敵空母に大打撃を与えました。しかし、まだトラック島が残っております」
「うむ。二次攻撃隊は」
「敵が近すぎて機数をまとめて出しました。二次攻撃隊はすぐに出せる機体が少ないです。攻撃隊の帰還も近いので、帰還してからとなります」
「報告によるとかなりの損害だそうだが」
「艦戦が1割。艦攻が3割。艦爆も3割の喪失です。さらに損傷機も入れると二次攻撃隊に回せる機体がどれがけ有ることか」
「一次攻撃隊の3割もやられたことになるのか」
「数もそうですが、丁寧に養成してきた連中です。そちらの方が痛いです」
「航空参謀としてはそうだろうな」
「長官。戦艦でやりましょう」
「砲術か。確かに近いが、今からだと追いつくのは日没前だぞ」
「では一旦引いてですか」
「二次攻撃隊を出せるかどうかだな」
「その機体は投棄しろ。投棄理由は修理不能で良い。早くしないと上空の奴の燃料が切れるぞ」
「整備長、飛行長。かまわん。もっと投棄して良い」
「艦長。よろしいのですか」
「上の奴を収容するのが先だ。もさもさしているとアメ公が来るかもしれんぞ」
「では、もっと景気よく投棄します」
空母の損傷で飛行甲板の数が減ってしまったので、収容作業も大わらわだった。損傷機から着艦させているが、整備長の判断する時間が間に合わず飛行長も見た目酷い奴を投棄させていた。整備長は機体大事なのでどうしても修理という思考になる。ここは艦長が出てきて飛行甲板を開ける事を優先させた。
これはアメリカ海軍も同じだった。無線傍受では酷い様相でがなり合っているらしい。こちらの無線も聞かれているだろう。
結局、二次攻撃隊は出せなかった。最初の攻撃の時は近すぎてお互いに時間が無かったのだ。攻撃隊の発艦が終わったら敵影が電探に映る。そんな時間で準備を完了させることは出来なかった。母艦の安全第一で準備した燃料弾薬を弾庫と燃料庫に戻した。そして攻撃を受けた。もし二次攻撃隊の準備をしていたら恐ろしい結果になっていただろう。
攻撃隊収容後に準備を始めると二次攻撃隊の帰還が夜間になるという時間では出撃させることは出来ない。
代わりに選んだのが艦隊戦だった。
「艦隊、第2戦速。敵に追いつくぞ」
「長官。奴らは後退するのではないですか」
「トラック島の浮きドックを捨ててか?」
「確かに大型の浮きドックは貴重だと思いますが、艦隊戦までして守るとも思えません」
「まあ行けば分かる」
「TBDは出せんな」
「それでも二本命中させました」
「この損害で二本か。やはり出せん。TBFが揃うまでは雷撃はしない」
「分かりました」
「出撃可能機数はどうなった」
「キャットが36機、ドーントレスが48機です。デヴァステーターは数に入れません」
「100機無いのか」
「サラトガとワスプが沈みました。ホーネットの火災はほぼ消えましたが未だにくすぶっています。曳航していますが、もう1発も喰らえば沈みそうだと。ヨークタウンは着艦不能です。空母が2隻になり攻撃隊の損害も大きかった。艦隊防空にキャットを残すと、直衛機は20機も無いことになります」
「直衛機が少ないのでは出せんな。攻撃隊の報告だと奴らの戦闘機はキャットでは持て余すらしい」
「そう聞きます。本当なのかと言いたいですが、事実と認めざるを得ません」
「事実を受け入れないとな」
「ではどうなさいますか。奴らがトーゴーの弟子なら夜戦を挑んでくるのでは」
「トラックも守らねばいけない」
「でもあいつは張りぼてですよ」
「飛行場は造成中で不時着くらいにしか使えないが本物だろう。張りぼては的代わりの餌だから良いが、飛行場の損害は最低にしたい。今もかなりの数が降りている。それに海兵隊からも言われている」
「では」
「空母は下げる。空母の直衛艦を減らし35.3部隊に合流させるように。トラック島に来るジャップを迎え撃つ」
「了解しました」
「俺は空母を離れん。砲戦指揮は35.3部隊指揮官が取るように」
「指示しておきます」
日本軍が大型浮きドックと認識していたのは、解体寸前の貨物船に側だけ貼り付けて浮きドックに見えるようにしたものだった。航空偵察でも分からないように、使えないクレーンを取り付けてペンキまで塗ってある。本気の餌である。
その日の薄暮前。両艦隊は激突した。
「艦長、レーダーの反応がおかしいです」
「おかしいとは何だ。きちんと報告せよ」
「敵戦艦と思われる隊列の最後尾ですが。反応が大きすぎます」
「大きすぎるだと?なんだそれは」
「艦長、報告にあった巨大戦艦かも知れない」
「司令官。空母の奴らが見たという奴ですか」
「そうだろうな。レーダー手。隊列の後ろなのだな」
「はい。戦艦クラスの反応が有る隊列の最後尾です」
「見張り員、見えるか」
「距離2万5000ヤード。戦艦らしきもの見えます。最後尾艦の比率がおかしい。大きすぎます」
「ここからで差が分かるのか」
「司令官。日本海軍は指揮官先頭です」
「そんな巨大戦艦なら旗艦にしたいだろうに。おそらく練度が足りないのだろう」
「足手まといですな」
「コンゴウクラスとでかいのは後回しにして、頭の4隻をやる」
「新型のデワクラスとお馴染みのナガトクラスですな」
「2万2000ヤードで同航戦に。撃ち方始めだ。砲術参謀、各艦に通達」
「司令官。観測機からです。戦艦が6隻居ると報告です」
「なんだ。3隻は撃破したのではないのか」
「水線下の損害がなかったのかも知れません」
「だが、戦闘力は低下しているだろう。かまわん、このままだ」
「目標割り当てはどうされますか」
「出羽、伊予、長門、陸奥は先頭から1隻ずつ。金剛と比叡は5隻目。大和は最後尾の艦を目標とせよ」
「観測機にもその旨伝えます」
観測機をお互い出した。まさかの空中戦が発生。アメリカの水上偵察機が3座水偵を撃墜したのだ。いくら7.7ミリ2丁でも防弾皆無な水偵ではやられてしまう。速度は遅いので振り切ったが、位置が敵艦隊上空と決まっているのでさらに撃墜された。
その状況を打ち破ったのが零式観測機だった。戦闘機並みと言われる空戦性能で対抗した。性能的には零式観測機が圧倒していて、アメリカのキングフィッシャーは防弾してあるので厄介だったが、最終的に多数の弾丸を撃ち込んで勝ったのは零式観測機だった。
日本が制空権を握った。
しかし、今度は対空砲火によって撃墜される機体多数で引き上げざるを得なかった。
新鋭戦艦6隻と新鋭戦艦2隻、ベテラン2隻、格下の戦艦2隻、練度不足の1隻の戦いは、練度不足の戦艦が出した命中弾が決め手となった。
それまでは不利を強いられていた。出羽と伊予はサウスダコタ級2隻と互角に撃ち合っていた。長門はインディアナを戦闘不能に追い込んでいる。しかし、陸奥轟沈、金剛中破、比叡沈没と負けていた。それが15斉射目で初めて命中弾を出した46センチ砲弾はノースカロライナの機関室に飛び込み炸裂。同艦を行動不能にした。
その後もほぼ当たらないが当たれば大損害と言う大和の砲撃でワシントンに3発とマサチューセッツに4発で戦闘能力を落とし後退させ数を有利とした。
巡洋艦以下の戦いも酸素魚雷の威力が敵を減らし、遂にアメリカ海軍は後退していった。
アメリカ海軍は打ち破られ、トラック島は砲撃で飛行場を掘り返され、浮きドックも沈んだ。
日本海軍の勝利だった。しかし、損害は大きい。
出羽と伊予が中破。長門中破、陸奥轟沈。金剛大破、比叡沈没。大和大破。大和は40センチ砲艦3隻からの集中射を受け甲板や上部構造物がボロボロになっていた。修理に1年程度が見込まれた。
次回更新 11月17日 05:00
砲戦の状況は思い描いていただけると有り難いです。
勘違いしたまま、幕下・十両と書いてしまっていたのでほぼ書き直しに。多分、何日か飛ばすと思います。




