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資源が有ることで 序の口

戦闘シーンは有りません。

第1話の前書きに15話くらいになりそうと書きましたが、20話越えて25話までは行かないくらいでしょう。多分。

 相互感情悪化で風雲急を告げる日米の2国間関係。

 遂に宣戦布告文書の交付どころか交換をしたのが日本時間1941年12月08日。

 そして日米の軍隊と言えば


 準備が終わっていなかった。当然である。


 陸軍や航空戦力は比較的早く立ち上がるが、艦船となるとそうはいかない。大型艦は建造に時間が掛かるのだ。戦時を予想しあらかじめ建艦計画を立てるなど出来ない。それに乗り組んで慣熟まで行くには建造開始から3年から4年掛かるだろう。

 だから今有る艦でやるしか無い。

 一応、両海軍とも1941年春には有事が確実に有ることを想定し計画を立てている。だが「戦争になりそうだから船や増加する人員の予算を出せ」等と議会には言えない。両国軍隊はシビリアンコントロールの下にある。勝手に戦争など始めることは出来ない。

 



「抜錨」


 日本は呉と横須賀から西之島軍港へ、アメリカはハワイから艦隊がウェーク島錨地へと向かう。作戦海域は両海軍とも、ウェーク島から小笠原諸島の海域だ。両軍とも最初に制海権を確保すべき重要地点としている。

 距離的にウェーク島は日本とハワイの中間点に有る。ハワイからも呉からも3800キロだが、南鳥島からは1500キロしかない。

 そして西之島からは南鳥島は1300キロだった。


 南鳥島をアメリカが取れば索敵範囲で優位になるのは間違いない。日本はウェーク島を取る意味が無かった。南鳥島以上の絶海で、資源もダイヤモンドと蛍石程度だと考えている。東へ向かう意思も無い。

 日本側は迎撃戦闘で主戦場は西之島と媒島を中心とした小笠原諸島だと考えている。南鳥島は維持困難と考えている。ここで変動以前はマーシャル周辺で考えられていた決戦を行うつもりだ。

 アメリカ側は西之島占領後、さらに西へと。沖縄占領を視野に入れる。


 アメリカの保護国となっている大韓国とフィリピンは局外中立を宣言している。両国に駐留するアメリカ軍は日本軍に対抗できるだけの戦力を有していない。おそらく初期に占領されてしまうのを警戒したためだと思われた。

 どれだけの実態になるのかは分からないが怪しいものだろう。

 日本が劣勢になれば日本に宣戦布告してくるのは確実と思われた。



 大きくなったウェーク島は当初、資源も無く港湾にするにも多大の予算が必要とみられ監視部隊の駐留だけになる予定だった。

 しかし、駐留に来た兵士が光る石を拾い上げた。水晶かと思われた石はダイヤモンドだった。監視鞘だけの島になる予定が一転、重要な島になってしまった。さらに蛍石が見つかる。


 このダイヤモンド産出地の出現はベルギーと南アフリカのダイヤモンドシンジケートに大きな衝撃を与えた。価格も品質も流通量もコントロールしていたのだ。アメリカ政府と傘下に入るよう接触を図った彼らはお断りをされてしまう。このシンジケートの動きにはイギリス政府も呆れた。


 ウェーク島は重要開発島となり、南東部に有った中央部が深い入り江を浚渫して港湾とした。ダイヤモンドに目が眩み多大な予算を注ぎ込んだのだ。ダイヤモンドは装飾用だけでは無く産業用途でも重要だった。アメリカ政府からすれば産業用の方が重要度が高く価値を見出していた。ダイヤモンドシンジケートで値をつり上げ維持するなど論外だった。勿論奥方連中からせっつかれたせいも有る。

 それまでは駆逐艦の出入りがようやくだった入り江開口部の水深が10メートルとなり、大型艦も注意すれば進入可能となった。湾外は外洋なので波が荒いときは艦底部が接触する恐れがあり、大型艦の荒天時進入は禁止になっている。今も防波堤工事と浚渫は継続して行われている。

 飛行場も大規模になっている。対日最前線を意識されていた。

 かくしてウェーク島には一大守備基地が急遽建設される運びとなった。

 


 対して南鳥島はと言うと、港は相変わらず埠頭では無くちょっと大きな桟橋程度しか無かった。黒い石を拾い集めるののと周辺監視が目的の島だ。開発する気など無かった。海底資源泥はまだ手を付けないことになっている。

 島には飛行場を造り周辺の海域監視をやっている。電探も設置されていた。守備隊は陸戦隊の小隊と飛行場小隊が置かれているだけだ。水資源が無く大部隊は置けない。敵が攻撃してきたら降伏も可としてある。




「電探に反応。方位90。距離110海里。小型機編隊と思われます」

「来たか。通信。緊急電「敵編隊とおぼしき機影探知せり」」

「飛行場にある機体は空中退避。父島か届けば西之島へ向かえ」

「しかし「ダメだ。九六艦攻4機で何が出来る。退避だ」」

「了解です」


 その後監視鞘将兵は暗号書焼却等の仕事を済ませ、離れた場所に作った待避所に退避した。

 島にいた石拾いの労働者達は宣戦布告と共に島から退去させられている。本土には十分以上に資源を送ってある。あの資源が有れば何年戦えるのだろう。

 守備隊隊長は私物の茶碗を磨きながらそう思った。



 開戦10日目。南鳥島は占領された。将兵の戦死傷者無し。

 原因はただ単にアメリカ軍がここまで早く動くとは思っていなかったためで、編成されたばかりの連合艦隊に情報を渡す軍令部の甘さが出てしまった。


 南鳥島を取られた日本だが、代わりにグアムを取った。アメリカ軍をいささかめていた陸戦隊や陸軍将兵は予想外の頑強な抵抗に思わぬ苦戦となった。

 これは映画などで出てくるアメリカの暮らしや風景から、贅沢な軟弱者という風評が出来ていたからだ。

 しかし、これで軟弱者ではなく底力の有る軍隊と分かったのは収穫だった。

 フィリピンや大韓国にいる駐留軍もこのくらいだと、いざという時には相当苦戦をするだろう。


次回更新 11月15日 05:00


シビリアンコントロールの下に無かった軍隊がありましたね。一応ふりはしているけれど勝手に戦争始めるし。


宣戦布告した相手はアメリカ合衆国だけです。イギリスとオランダは理由が有りませんでした。国際関係によっては追加も有りそう?

戦闘シーンは次回こそ。

大本営も連合艦隊も戦時編制ですので、開戦までは正式に結成されていません。

準備はしてあります。


ダイヤモンドは永遠に

007の暗躍はありません。

日本は普通にダイヤモンドを買っているのでアメリカから奪おうとは考えません。


「資源を送ってある。あの資源が有れば何年戦えるのだろう。」

負けセリフではない。断じて違いますよ。


相撲が始まりました。毎日の熱戦。面白いです。

と言うことで太平洋側シーンのサブタイトルです。


戦記バブルの頃はトンデモな設定が多かったです。紺碧の艦隊辺りから始まりましたでしょうか。作家さんのレベルもピンキリで。進水してすぐに活躍する船とかも有った気がします。でも面白い作品も多数有りました。

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