表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】旦那も家族も捨てることにしました  作者: 火野村志紀


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/72

53話

「私はレオーヌ侯爵の妻よ!? こんな扱いをして許されると思ってるの!?」


 薄暗くて冷たい檻の中で、ロザンナは金切り声を上げていた。

 着ていたドレスは剥ぎ取られて、粗末な服が与えられた。着古された物なのか、強烈な悪臭が鼻をつく。


 もちろん、身につけていた装飾品も没収された。

 あのレッドダイヤモンドのネックレスも。


(ああああああ! こんなところ、今すぐに出たいわ! 気が狂ってしまいそう……!)


 この服を着てから、全身の痒みが止まらない。ボリボリと服の上から掻いていると、ますます痒みが酷くなる。

 独房を見回せば、様々な汚れのついた便器と、カビの生えたベッドだけがある。


 嫌だ、絶対に使いたくない。


「さっさと出しなさい! そうだわ……ライラ、私の娘に会わせてちょうだい!!」


 王太子妃となるライラに命じれば、すぐに釈放されるはず。一縷の望みをかけて叫んでいると、足音が聞こえてきた。どうやら女性のようだ。

 もしかして、とロザンナの顔に希望が浮かぶ。


「来てくれたのね、ライラ……!」

「あら、ライラ嬢は亡くなったのではなくて?」


 その声に、ロザンナは息を呑む。

 檻の前に立ち止まったのは王妃だった。どうしてここに、と疑問が浮かぶが、今はそれどころではない。


「い、いえ、王妃様! ライラは生きていますわ! ルディック伯爵家のフィオナ、あれは私がお腹を痛めて産んだ我が子です!」

「だけど、彼女は農村で焼死体で発見されたらしいじゃないの」

「あれは偽物ですわ! 村の墓場から見繕ってきた女の死体を焼いただけです!」

「あら。何故そのようなことをしたの?」

「ライラが死んだことにすれば婚姻関係も切れて、あの馬鹿娘と結婚できるからと、あのクソガキが言い出したことです! 私たちは、ただそれに従っただけですわ……」


 鼻を啜る演技をしながら訴える。

 それらの言葉に、何一つ偽りはない。


 レベッカとかいう男爵家の娘。

 あんな下等なものを迎え入れるなんて、レオーヌ侯爵家が汚れると思っていた。

 だが、トーマスが新たな結婚相手に選んだのなら話は別だ。嫌悪感を押し殺して、実の娘のように扱うことを心がけていた。


 そして、このまま行けばトーマスとレベッカは夫婦となり、全てが一件落着のはずだった。

 なのに、全てが水の泡だ。レベッカも、今頃は別の牢屋に入れられているだろう。


 激しい喪失感に、ロザンナは歯軋りをする。

 そして、つい口走ってしまった。


「だいたい……ライラが殺されそうになったわけでもないのに、ルディック伯爵家は大袈裟すぎますわ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ