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超Q探偵  作者: XI
96/204

22-5

「貴女も災難ですね」私は前方を警戒したまま、すぐ後ろの奥方に話しかける。「ぶっちゃけてしまうと、ミン刑事に見初められなければ、こんな目に遭わずに済んだわけですから」

「でも私は、とにかく、夫のことが、好きで……」

「そういうこと、なんでしょうね」


 大通りに出た。多くのヒトが往来している。奥方と並んで十分ほど歩き、目的地はもう目の前だ。次の角を左折して少し進んだところに、この街でいっとう大きな病院がある。が、そう簡単にことは運ばないようだ。病院の出入り口付近に三人組の男が居座っている。一様に煙草を吹かしつつ、一本のウイスキーを回し飲みしている様子が見て取れた。


「あのヒト達は……」

「さあ。貴女はここで待っていてください。少し話を聞いてきますので」


 私は病院の前まで進み出て、膝を折って座り込んでいる三人の男を見下ろした。


「どいていただけませんか? 貴方達のようなやからがたむろしていては、誰も気軽に院内に入れない」

「待ち人がいるんでな」男のうちの一人は酒瓶を置くと、げっぷをした。「ほっとけよ。俺達にかまうと痛い目見るぜ?」

「誰をお待ちなんですか?」

「女だよ」

「その女性というのは、ひょっとしてミンという人物の奥方では?」

「そんなこと、なんでおまえが知ってんだ?」

「ミン刑事はこの病院にいらっしゃるのですか?」

「らしいぜ。確かな情報を掴んでいる」

「ふむ。なるほど。やはり彼はここに搬送されたわけですか……」

「何ぶつぶつ言ってんだよ」

「奥方の面は割れてはいない?」

「割れてるよ。俺が知ってる。偶然、街中でミンの野郎と一緒にいるところを見かけたんでな。とびきり上物の女だった。つーか、べらべらしゃべらせんなよ」

「一々質問に答えたのは貴方でしょう?」

「で、おまえは何者なんだ?」

「決まっているじゃありませんか」

「決まっている?」

「ええ。私は貴方達の敵ですよ」


 早速、男のあご先を蹴り上げて地面に転がした。失神したことだろう。残りの二人のうちの一人が拳銃を抜き払った。その手にかかとを振り落とす。折れたのだろう。右手を押さえてぎゃあぎゃあ喚く。最後の一人が立ち上がる。殴りかかって来るより先に腹部に当て身を入れて気絶させた。状況終了。他愛もない戦闘だった。


 奥方が駆け寄ってきた。


「大丈夫ですかっ」

「ご覧の通り、無傷ですよ」

「三人とも、やはり私を狙っていたんですか?」

「そのようです。が、上手くいった。ミン刑事はやはりこの病院にいるようですよ。さあ、彼のもとに向かいましょうか」

「はいっ」


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