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超Q探偵  作者: XI
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22.『神様は一人?』 22-1

 神を示すにあたって『一人』という表現は正しいのか否か。かねてからそう迷っていた。そんな話を、ひょんなことからメイヤ君に切り出したのである。


 私は二人掛けのソファに座り、メイヤ君は向かいの席についている。互いに飲んでいるのは濃い目のコーヒーだ。苦いものが苦手だったメイヤ君だが、ようやく黒い液体の美味しさがわかってきたらしい。


「一柱、二柱というのが正しい数え方なのでしょうけれど、わたしからすると一人、二人という数え方のほうがしっくり来ます。神様はヒトのカタチをしているのだろう考えるからです」

「すなわち、神は自分の姿に似せてヒトを造ったというわけだね?」

「そういうことです」

「ヒトが神の眷属だということについては合点がいく。最初にヒトのカタチをなして現れたのがアダムとイブなのかもしれない。だけれど、彼らに端を発したニンゲンは、のちに争いを起こすわけだ。それはどうしてかな?」

「宗教観、あるいは価値観の違いによっていさかいが起こるのです。そのへんを切り口として考えると、やっぱりヒトは愚かだという結論に達しますですね」

「多少、論理が飛躍したけれど、君の言ったことはまさに正論だ」

「とりあえず、戦争も紛争もわたし達が生きていく上では関係がありません。それとも、実はマオさんってば、博愛主義者だったりするのですか?」

「そんなふうに見えるかい?」

「見えたり見えなかったり」

「どっちつかずなんだね」

「マオさんってば、そういうヒトなのですよ」


 ふいにデスクの上にある黒電話が鳴り、例によってメイヤ君が受話器に飛びついた。


 途端、メイヤ君が「えっ!」と声を上げた。「み、ミン刑事、どうなさったのですか? 脚を撃たれたって、それって一体、どういう状況なんですか? えっ、近しいニンゲン? ミン刑事、ミン刑事っ!」


 そのまま、電話は途切れてしまったらしい。


「メイヤ君」

「公衆電話からだったみたいです。にしたって、いきなり脚を撃たれたと聞かされても……」

「場所は?」

「わかりません。ただ、犯人はいまきわにあって、おまえに最も近しいニンゲンもターゲットだってのたまったそうです」

「近しいニンゲン、か」

「ゆゆしき事態ですよ。ミン刑事に一番近い人物と言えば奥様ではありませんか」

「そうなるね」

「急行しましょう」

「とこにだい?」

「だから、ミン刑事のおうちにです」

「君は場所を知っているのかな?」

「知りませんけれど……」

「実のところ私は知っている」

「えっ、そうなのですか?」

「それくらいは押さえてあるんだよ」

「でしたら」

「そうだね。速やかに奥方のところに向かうしかない」

「それにしても、ミン刑事はそんなに切羽詰まった状況であるにも関わらず、どうしてウチに連絡を寄越されたのでしょうか。それこそ警官を投入したほうが話は早いと思いますけれど」

「彼にとって一番信頼できるのは、私だということなんだろう。あらゆる要素をを考慮した上で、まず私に連絡を寄越したんだ。私なら上手く立ち回るだろうと考えてね」


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