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超Q探偵  作者: XI
77/204

19-4

 翌日の午後、事務所の最寄りの喫茶店でミン刑事と落ち合った。「茶でもどうだ?」とのお誘いだった。私とミン刑事はアイスコーヒーを、メイヤ君はオレンジジュースをオーダーした。


昨日きのう、『蛾』の中毒者がまた姿を現したわけだが、そいつを捕まえたのはおまえだったんだってな」

「ドラッグの名は『蛾』というんですか」

「そう呼ぶことにしている」

「私が拘束した、くだんの男は何か吐きましたか?」

「吐く前に死んだよ」

「死んだ?」

「留置所で舌を噛み切ったんだ」

「何も訊き出せなかったわけですね?」

「そう言っている」

「ミン刑事、率直に伺います」

「なんだ?」

「貴方はやはり、『蛾』の流通に関わっているのではありませんか?」

「いよいよズバッと来たな」

「貴方とヤクザとは切っても切れない縁にある。違いますか?」

「案外、俺は『真っ白』かもしれないぜ?」

「そうお答えいただいても、疑念は払拭できない」

「どれだけ疑いをかけられても、打ち明けてやる義理はないな。義務もない。おまえのパートナーだと自認していることは事実だが、隠し事の一つや二つ、あってもいいだろう?」

「そのお答え自体、真実を語っているように思われますが?」

「仮に俺が『黒』だった場合、おまえさんはどうするつもりなんだ?」

「さて。どうしましょうかね」

「以前から何度も言っている通り、間違っても俺を敵に回さないほうがいい」

「それは承知しています」

「まだ何か訊きたいことはあるか?」

「いいえ。大体、理解しました」

「そうであるなら、それに越したことはない」


 ミン刑事は何も言わずに伝票を持って立ち上がった。レジで支払いを終えると、とっとと店をあとにした。誘っておきながらろくにおしゃべりもせずに席を立つあたりは、彼らしいとも言える。自己中心的なのだ、基本的に。


「わたしはやっぱり、ミン刑事を信じたいです」隣に座っているメイヤ君が私のほうを見た。「信じるに足るヒトだとも思っています」

「メイヤ君。以前にも言ったことだけれどね、なんの根拠もなく、ヒトを信じるのは良くない。何事も疑ってかかるべきなんだ」

「でも、そういう考え方って、とっても悲しいことではありませんか?」

「性善説だね、それは」

「好んで性悪説をとなえるほど、わたしはヒトに絶望していません」


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