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超Q探偵  作者: XI
71/204

18.『メイヤ君、塾に通う』 18-1

 露店で朝粥を食べているさいちゅうに、私は切り出した。


「メイヤ君、学習塾に通ってみたらどうだい?」

「学習塾?」

「うん。学費に糸目を付けるつもりはない。君はまだ十七だろう?」

「十八ですよ。こないだ、ケーキを買ってもらったばかりじゃありませんか」

「ああ、そうか。そうだったね」

「マオさんってばメチャクチャ忘れっぽいです」

「偶然だよ。たまたま失念していただけだ」

「うーん。学習塾ですか。この街で生きていくすべは、もう心得ているつもりですけれど」

「君は頭の回転が実に速い。それはわかっている。だけど、根っこの知識を身につけておいても損はないと思うんだ」

「確かに、まあ、基礎を知っておくのはいいかもしれませんね」

「だろう? ところでメイヤ君」

「なんですか?」

「その海老、もらってもいいかい?」

「前にも言いました。海老は残しているわけではなくて、取ってあるのです」

「ふむ。そうかい」

「そんなに海老が食べたいんだったら、マオさんも海老粥にすることをオススメします」

「梅粥が好きなんだよ。でも、海老も好きなんだ」

「だったら海老をトッピングで頼めばいいじゃないですか」

「そんな贅沢をするつもりはない」

「じゃあ、両取りだなんて図々しいことを考えないでください」

「確かにその通りだ」

「で、学習塾でしたっけ?」

「うん」

「うーむ。学習塾、学習塾。そうか、そうですか。それは考えたことがなかったのですよ」

「まずは最年少のところに行ってみたらどうだい?」

「最年少って、マオさんはわたしのことをそこまで馬鹿だと思っているんですか?」

「君は学習塾に通っていたことがあるのかい?」

「それは、ありませんけれど……」

「学ぶなら『いち』から学んだ方がいい」

「ちなみに、マオさんは塾に行っていたことはあるんですか?」

「ないよ」

「ないのですか?」

「うん」

「貧乏だったのですか?」

「まあ、色々とあってね」

「そういえば、マオさんの生い立ちとか、マオさんがどうして探偵になったのかとか、そのあたりの経緯いきさつをまるで聞かせてもらったことがありませんね。そもそもご両親はご存命なのですか?」

「質問攻めだね。だが、私のことはどうだっていいんだよ」

「どうでも良くないです。色々と知りたいのです」

「もっと仲良くなったら教えてあげるよ」

「これ以上、どう仲良しになれっていうんですか」

「塾には行くのかい? 行かないのかい?」

「楽しいでしょうか?」

「楽しいと思うよ? 知識を得るとね、少なからず、ヒトは喜びに駆られるんだ」

「ふーむ。そこまでおっしゃられるのなら」

「退屈なら辞めてしまえばいいわけだしね。とりあえず、行ってみなさい」

「わかりました。それにしてもですね、マオさん」

「なんだい?」

「以前から感じていたのですけれど、マオさんって、命令口調が多いです」

「そうかい? でも、そうあっていいだろう? 私は雇い主なんだから」

「それでも、命令口調はなんだか嫌です。ムカつきます」

「君は自己主張が強くなってきたね」

「はなからそのつもりですよ」

「行ってみなさい」

「あー、またそうやって命令口調で言うー」

「いいから、通ってごらんなさい」


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