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超Q探偵  作者: XI
69/204

17-2

「アンヘル。美しくて、カッコいい名前ですね」

「本当に天使みたいな男のコだったよ」

「どれくらい綺麗な男のコだったのですか?」

「中性的なコでね。とにかく美観に優れていた。だから、売れっ子の男娼だった」

「売れっ子ですか。でも、親に売られてしまったわけですから、望まざる状況だったのですよね?」

「当然、そうだ。でね、少年はある日、いよいよ自らの置かれた立場が我慢ならなくなって、警察に話を持っていったんだよ。だけど、相手にしてもらえなかった。それでも彼は、毎日毎日通い詰めたんだ。いつかは真剣に話を聞いてもらえるものと信じて」

「結果は? どうなったのですか?」

「やっぱり取り合ってもらえなかった」

「それはどうしてですか?」

「少年と少年の雇い主であるヤクザとの間には一応、雇用契約が成立している。そうである以上、警察はいちゃもんをつけることができない。だけど、少年の継続的なアクションは無駄にはならなかった。ある日、彼の行動が、ミン刑事の耳に届いたんだよ」

「でも、雇用契約がある以上、ミン刑事だってどうにもできないのでは?」

「だから、私にお呼びがかかったんだよ。なんとかしてやれって、彼に言われたんだ。私なら上手く立ち回るだろうと考えたらしい」私はコーヒーをすすり、カップをソーサーに置いた。「私は早速、少年をここに招いた。メイヤ君、今、君が座っているソファに、彼はついたんだよ」

「男のコは、なんて言ったのですか?」

「天使でいることがつらいと話した」

「というと?」

「『穴の具合』が相当良かったんだろう。客は揃って、おまえは俺の天使だと言って射精したらしい」

「そんな……」

「自らの置かれた境遇がどれほど苦しいのか、それを述べた上で彼は泣いたんだ。でも、わんわん泣いたわけじゃあない。ただ唇を噛み締めて、ぽろぽろと涙をこぼしたんだ」

「強い男のコだったのですね……」

「そう思う」

「それで、マオさんはその件をどうやって解決しようとしたのですか?」

「貯金をはたいて彼を買おうとした。結構な額を提示したつもりだ。でも、ヤクザの親分が彼のことをえらく気に入っていてね、いくら金を積まれても手放す気ないと言われた。少年は客の相手をさせられながら、親分の性処理をする役割も担っていたんだ」

「ヒドい……」

「そうだね。ヒドいね。だけど、そういったことがあり得てしまうのが、この街の現実なんだよ」


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