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超Q探偵  作者: XI
65/204

16-2

 自首した男はどうやら公務員だったようだ。役所で働いていたらしいとの情報を周辺の住民から得ることができた。


 次はそれなりに足しげく通っている『野菜屋』へ。主人に写真を見せると、「良く見る顔だね」と返ってきた。なので、少し話を聞いてみることにした。


「ロウさんだよ」

「お名前をご存じなんですか?」

「ああ。ウチの女房と仲良しなんだ。写真うつりはイマイチみたいだけど、実際は結構イイ男だよ」

「イイ男、ですか」

「そうさ。だから、女房とのおしゃべりが弾んでるのを見ると、ちょいと嫉妬したりもする」

「ご主人は奥様に首ったけなんですね」

「まあ、そう思うよな、ははっ。それで、ロウさんは何をやらかしたんだい? マオさんが動いてるってことは、何かあったんだろ?」

「その通りです。ロウ氏は女性を一人、殺害したみたいですよ」

「殺人か」

「悪さを働くような人物に見えましたか?」

「いや、到底、そんなふうには見えなかった。いいヒトそうだったよ」

「ふむ」

「何かい? ひょっとして、マオさんはロウさんが犯人じゃないとか考えているのかい?」

「いえ。そういうわけではありません」

「だったら、何を探っているんだい? 何を知ろうとしているんだい?」

「元々、知りたいことなんてないんですよ。私の中では『答え』が出ていることですから」

「『答え』か。相変わらず、マオさんは優秀だね。さすがだなって思うよ」

「恐縮です」

「ところで、メイヤちゃん」

「はい、なんですか?」

「また背が伸びたんじゃないかい?」

「はい、伸びました。まさに成長期なのですよ」

「あっはっは。おっぱいもまた大きくなった気がするね」

「おっしゃる通りです。だけどご主人、それってセクハラです」

「マオさんでもメイヤちゃんでもいいから、またキャベツを買いにきておくれ。いいのを用意して待ってるから」



 事務所への帰路、大通り。

 

「『野菜屋』のご主人からは有益な情報は得られませんでしたね」

「だから、情報なんて別に必要がないんだよ」

「そうなのですか?」

「言っただろう? 私の中ではすでに『答え』は出ているって」

「じゃあ、どうして調査して回っているのですか?」

「単なる暇つぶしだよ」

「えー、そうなのですかぁ?」

「うん」

「じゃあ、わたしにその『答え』とやらを教えてください。なんてったって、わたしは助手なのですから」

「どうせ明日、ミン刑事に話すんだ。二度手間になる」

「ぶぅぶぅ、それっていけずですよぅ」

「一つだけ、ヒントをあげよう」

「おぉ、そう言っていただけるのを待ってました」

「被疑者と被害者との間には、つながりがあったんだよ」

「それはもう聞きましたよ?」

「ただ、片想いだったとしたら?」

「片想い?」

「そう。片想いだ」

「マオさんが何を言わんとしているのか、まぁったくわかりません」

「君は頭の回転も速いし勘もいいけれど、まだ私の域には達していないようだね」

「それって自慢ですか?」

「客観的な評価だよ」


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