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超Q探偵  作者: XI
64/204

16.『絞殺された女』 16-1

 ミン刑事からの久々の呼び出しだ。彼に言われた通り、私とメイヤ君は、とある『フートン』の一角にあるアパートに出向いた。


 そのアパートの問題の一室に着くと、まず死体の脇を通り抜けることを強いられた。玄関の表に上半身を仰向けに投げ出した格好で、死体は転がっていたからだ。


 部屋の真ん中でのんきに煙草を吹かしているミン刑事に断りを入れてから、死体を観察した。若い女性だ。首の周りに何かが巻き付けられていた形跡があることから、絞殺だと思われる。


 ミン刑事の発言を記すつもりなのだろう。メイヤ君はメモを構えている。


「手を下したらしい男の身柄は、すでに拘束してある」

「そうなんですか?」

「ああ。自首してきたんでな」

「でしたら」

「おまえに案件を解決してもらう理由なんてないってか?」

「その通りでは?」

「おまえの力量を試したい」

「は?」

「これから先もおまえさんとコンビを組んでやっていいのか悪いのか、そのへんを確かめたいんだよ」

「ふむ……」

「質問があるなら言ってみろ」

「飛躍したことを伺います」

「おまえの問いかけはいつだって飛躍しているだろうが」

「なぜ、男は自首してきたのでしょうか」

「そこんとこについてはヒントをやろう」

「ぜひとも、頂戴したい」

「知り合いだったそうだよ、ご両人は」

「親密な関係、ですか?」

「そこまで答えてやる義理はねーな」

「被害者の体は上半身だけ仰向けに玄関の外に投げ出されている」

「何か疑問があるのかよ」

「現状を維持されたままなのですね?」

「言うまでもねーな」

「玄関の戸を開けたら、被害者の上半身がばたっと倒れ込んできた」

「その点についても、言うまでもねーな」

「貴方は私を試していらっしゃる?」

「そう言っただろうが」

「もはや思考を巡らす余地すらないと思いますが?」

「ほぅ」

「やはりご両人は親密な関係にあったんですよ。だが、恐らくではありますが、恋人同士というわけではなかった」

「なぜ、そう言い切れるんだ?」

「探偵の勘が、そうささやきます」

「またそうやって煙に巻こうとするんだ、おまえは」

「早速、『答え合わせ』をさせていただけますか?」

「嫌だね」

「どうしてです?」

「生憎、今日の俺は忙しい」

「他に事件が?」

「ああ。次の現場に急行せにゃならん」

「話はすぐに終わるのですが」

「そいつは明日までの楽しみに取っとくよ」


 懐から取り出した写真を、ミン刑事は私に寄越してきた。眉の太い男のバストアップである。


「自首してきたのはそいつだ」

「こんなもの、必要ありませんよ」

「そう言わずに、街歩きのネタにでもしてみろ」

「ふむ」

「じゃあな」


 そう言うと、ミン刑事は部下に死体を片付けるように命じて立ち去った。


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