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超Q探偵  作者: XI
33/204

7-4

 事務所にて。

 

 なんとはなしに二人掛けのソファに座っていると、メイヤ君が「はい、どーぞぉ」とテーブルの上にコーヒーを出してくれた。「ありがとう」と言って、私は早速カップに口を付ける。


 向かいのソファに腰を下ろし、砂糖をたっぷり投入したコーヒーをすすったメイヤ君が、ぶーぶーと口を尖らせた。


「どうしてお代をいただいたとか嘘をついたんですか?」

「私達はただ酒場で話をしただけじゃないか」

「それはまあ、否定しませんけど……」

「だろう?」

「わかりました。案件自体は解決したわけですから、その点は良しとします。だけど依頼料をいただいていないからわたしは正直にそう伝えただけなのに、がめついとかあんまりじゃありませんか。あれじゃあ、まるで、わたしが守銭奴みたいじゃありませんか」

「そうかな?」

「そうですよ」

「経費がかかれば報酬はもらう。特に経費がかからなければ報酬はもらわない。それでいいと思うけれど」

「先払いで請求することだって、時にはあるじゃないですか」

「相手次第ってことだよ」

「ホント、気まぐれすぎます、マオさんは」

「まあ、私は探偵だからね」

「あーあぁ。次、お金が入ったら、新しい服を買おうと思ってたのになあ」

「君は充分に衣装持ちじゃないか」

「服は消耗品なのです。特に下着なんかは」

「ふむ。確かに下着はいたみやすいね」

「でしょう?」

「うん」

「で、ここだけの話なのですが」コーヒーカップを両手で持ったまま俯くと、続いてメイヤ君は目線をぐわっと上げて見せた。「実は最近、ブラジャーがキツいのですよっ」

「成長期なんだろうね」

「ドキドキしませんか?」

「何についてだい?」

「年頃の女のコが、ブラジャーが窮屈だとか言っているわけですよ?」

「だから、成長期なんだろうね」

「マオさんはヒトの三大欲求ってご存知ですか?」

「食欲、睡眠欲、それに性欲だろう?」

「食欲と睡眠欲はともかくとして」

「ともかくとして?」

「マオさんは性欲をどうやって処理されているのですか?」

「性欲、性欲かあ……」

「実はたまっていたりするのではありませんか?」

「そう感じたことはないね」

「マオさんなら、そうおっしゃるでしょうね。でも、もしも、もしもです」

「もしも?」

「もしもたまっているのであれば、ご協力することについては、やぶさかではないのです。ヴァージンはそう簡単には差し上げられませんけれど、ほら、手を使ったりだとか、お口でご奉仕したりだとか」

「君は何を言っているんだい?」

「またまたぁ。わかってるくせにぃ」

「メイヤ君」

「なんですか?」

「外でそんなことを言っちゃいけないよ?」

「言いませんよ。マオさんが相手だから言っているのです」


 メイヤ君がじっと見つめてくるので、私もじっと見返した。


「メイヤ君、今さら感が否めないんだけど」

「はい?」

「君はすけべえなんだね」

「それはもう。お年頃なので」


 メイヤ君は目を三日月の形にして、白い歯を見せて微笑んだ。愛らしい笑顔だ。手元にカメラがあるなら一枚撮っておきたい。彼女は確かに魅力的な女性なのだろう。


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― 新着の感想 ―
[良い点] そうですか、石平さんには隠し子が。 奥さん、大丈夫かな……まあ後はその人たちの人生ですからね。一人の人生で誰かのケツを拭ける範囲は限られているというのが私の持論です。マオさんの判断は正しい…
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