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超Q探偵  作者: XI
27/204

6-3

 夜の街。『カイホー』。相変わらず、『フートン』の露店の軒先にはオレンジ色やら白色やらのランプが吊り下げられている。


 事務所までの帰路。


「本当にヒドい話です」私の隣をとことこと歩きながら、メイヤ君がしょぼくれた声で言う。「婚約者が殺されてしまったとか、グエンさんは可哀想です……」

「そうかな?」私はメイヤ君の感じ方に疑問を呈した。「果たしてそうなのかな?」

「どういうことですか?」

「もし、私が婚約者を殺されたのだとすれば、相手を火あぶりにしたって足りないよ。とにかく苦しめるような拷問にかけて、挙句、殺害したいと考えるだろう」

「意外です。マオさんからそんな言葉が聞けるなんて」

「私は探偵だけど、それ以前にニンゲンだからね」

「でも……」

「でも、なんだい?」

「グエンさんみたいな考え方も『アリ』なのではありませんか? 確かに、犯人を正しく裁いたところで、エレクトラさんが帰ってくるわけじゃあ、ありませんし……」

「のんびり屋だと自覚している反面、のらりくらりが信条だというわけでもない」

「どういうことですか?」

「犯人を追い詰めてやらないとね。少し飛躍した言い方をするとだね、確かにグエン氏はエレクトラさんの死を悼んでいたようではあったけれど、その裏には何かあるように思うんだ」

「どうしてそんなふうに思われるのですか?」

「格好のいい言い方をすると、探偵の観察眼がそうさせる」

「それじゃあ、マオさんはどんな結末を予想しているのですか?」

「あまり考えたくはない。いい結末ではないからね」

「良くわからないですけれど……」

「だからね、フィアンセが死んでしまったのだとしたら、もっともっと取り乱してもいいはずだって思うんだよ。涙を流すだけじゃあ、済まないはずなんだ」

「勘繰りすぎではありませんか?」

「そのへんのことを確かめるために、明日もう一度、グエン氏を訪ねてみようと思う。この目で確かめて、判断するのが最も適切なことだからね」

「わかりましたです。マオさんの考え通りに帰結するのかどうか、見守らせていただくことにします」

「帰結だなんて、難しい言葉を知っているね」

「がんばって色々知ろうとしていますから。ナメないでください」


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