表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超Q探偵  作者: XI
160/204

35-4

 街の警察本部を訪れた。地下の霊安室にて記者の遺体とご対面。頭を鉄砲で撃ち抜かれた痕がある。どうやら背後から撃たれたらしい。それくらい、傷痕を観察すればすぐにわかる。


 私とメイヤ君は警察署をあとにし、大通りへと出た。


「ちょっと悲惨な死に顔でしたね」

「うしろから銃撃されたわけだから。あんなものだよ」

「それにしても、どうして遺体をあらためようと?」

「あらためようと思ったわけじゃない。ただ手を合わせたかっただけだ」

「お優しいマオさんなのです」

「他意はないよ」

「これからどうしましょうか」

「例の編集長は肝心なことをいっさい明かさなかった。だから、もう一度訪ねてみる必要がある」

「編集長さんは話をしてくださるでしょうか」

「ことはそれなりに重大だからね。話してもらえないと、それはそれで困ったことになる」

「期待するしかないですね」

「もしくは話術でなんとかするか、だね」

「ということなら、マオさんは弁が立つからだいじょうぶだと思います」

「謝意を述べておこう」

「いえいえなのです」



 翌日、再び編集長のもとを訪れた。

 仕事場の奥にある彼のデスクには、今日も書類が広がっていた。


「やはりイーライ氏のことについてお伺いしたい」

「何か掴んだのか?」

「いいえ。特別、進展があったというわけではありませんが」

「要は俺から聞き出すしかないってことか」

「話していただけるまで、帰るつもりはありません」

「昨日はさっさと引きあげたのに、か?」

「昨日と今日とは違います」

「案外、しつこいんだな」

「探偵ですから」

「しょうがないな」編集長は後頭部をがしがしと掻いた。「イーライのヤツは、ある大物代議士の闇献金疑惑を追っていたんだよ」

「闇献金ですか。それで?」

「簡単なことだ。だから消されたんだろうさ」

「その代議士にまつわる悪い噂は本当だったということですね」

「多分な。だから、ウチの雑誌に載せることも考えた。だが、上から不当な圧力をかけられた」

「貴方の上司は臆病風に吹かれたというわけだ」

「ああ。しかたがないものはしかたがない」

「ですが、私は目の前にある事件は片付けます」

「正義の味方のご登場ってか?」

「まさか。自分が設けたルールに従うというだけです」

「代議士先生の事務所はビジネスのメッカ、『タオレンフロント』にある。ここからは、ちと遠いってことだ。だが、週末は決まって、『郊外の丘』に構えている屋敷にいるらしい」

「でしたら、そちらを訪ねてみるとします。比較的、近場ですからね。代議士先生の具体的などころを教えていただきたい」


 編集長はメモを記し、それを渡してきた。確かに住所が書いてある。


「承知しました。ありがとうございます」

「フリーの記者なんて使い捨ての駒だ。とはいえ、正直言うと、アンタがことの真相を探ることで、それがイーライの弔い合戦になればいいとも思っている」

「ふむ」

「イーライはいいヤツだったんだよ」


 出版社を出た。

 メイヤ君がとことこ歩き、私の隣に並んだ。


「週末に屋敷を訪ねてみるのですね?」

「そうだけど、見知らぬ人物を家に上げたりはしないだろう」

「じゃあ、どうされるのですか?」

「なるようになるよ」

「そうなのですか?」

「おさまるところにおさまる。事件というのは、総じてそういうものなんだ」



 週末の土曜日、一応、代議士先生の家を訪ねてみた。やはり「誰も通すな」と言われてるらしく、文字通り門番から門前払いを食らった。まあ、しょうがのないことであり、予想の範疇の反応でもあった。


 私とメイヤ君は待ってもらっていたタクシーに乗り込み、『カイホー』への家路へとついたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ