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超Q探偵  作者: XI
16/204

4-2

 私は『いち』から被害者の交友関係を洗うことにした。が、どうにも見通しは良くない。アパートの住人に訊いても、アパートの周辺に住まう人間に訊いても、手がかりになるようなめぼしい情報は得られなかった。どうにも被害者である老婆は、周囲とはあまり関わりを持たない人物だったらしい。孤独な老人がアパートで一人暮らし。それは結構寂しいことだとは思うのだが、そんな心情を抱くことは無意味だ。客観的に『こと』を見て、『こと』の解決を図るより他にない。


 とはいえ、困ったのだ。

 いや、嘘だ、困ってはいない。


 あまりに捜査に行き詰るようなことがあれば、案件を投げ出してしまえばいい。ミン刑事に「ダメでした」と、一言伝えればいい。報酬は得られずとも、それで面倒ごとからは解放される。まあ、その面倒ごとを引き受けているからこそ探偵業は成り立つわけで、だったらそうそう簡単に物事を投げ出すわけにはいかないのも事実だったりするのだが。


 ミン刑事から依頼があった翌日の昼過ぎのことだ。


 私がやはり二日前の新聞に目を通しているところに、外出していたメイヤ君が戻ってきた。息せき切らせている。どうやら走って帰ってきたらしい。


「大ニュースですよっ!」


 メイヤ君はそう言うと、私のデスクを両手でバンッと叩いた。


「デスクを叩くのはやめてくれないかな。やかましいから」

「だけど、大ニュースなのですよっ!」

「どんな大ニュースなんだい?」

「聞いて驚いてください」

「内容によるよ」

「な、なんとです、『占いの館』が再開したようなのですっ!」

「『占いの館』?」

「ほら、亡くなったおばあさまが営まれていた『占いの館』ですよ。そこの営業がまた始まったのです」

「それが大ニュースなのかい?」

「そうじゃないですか」

「亡くなった老婆がまた始めたというのであれば驚きもするけれど。それで、『やっている』のは誰なんだい?」

「なんでも、おばあさまのお孫さんだそうなのです」

「お孫さん?」

「ええ。お孫さんです」

「話が見えないな」

「占ってもらいましょう」

「何をだい?」

「だから、『占い師』のおばあさまを殺したのは誰かを、です」

「話はわかった。だけど、占いで『こと』が解決するようなら、廃業を考えざるを得なくなるなあ」

「そこはまあ、持ちつ持たれつということで」

「意味がわからないよ」

「とりあえず、訪ねてみましょうよ。どうせ暇なんですから」

「暇なのは自覚しているつもりだけれど、それを他人から指摘されると少なからず傷つくね」

「まあまあ、そうおっしゃらずに」


 茶色のボルサリーノをかぶっているメイヤ君が隣にまで寄ってきた。メモを見せてくる。そこには簡単な地図が描かれていた。簡単と言えどもわかりやすい。どうやらメイヤ君には地図を描く才能があるようだ。


「でも、あんなところに建物なんてあったっけ? 空き地だと思っていたけれど」

「聞き込みによると、どうやら天気のいい日だけ営業しているみたいなのです。しかも不定期で」

「ふむ。まあいい。とりあえず、行ってみようか」

「そうしましょーっ」


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