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超Q探偵  作者: XI
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4.『良く当たる占い師』 4-1

 ミン刑事は五十に近いという噂だが、三十代だと言われても説得力があるくらい見た目は若い。その上、実に男前だ。二枚目とは彼のような人物のことを言うのだろう。だけど、何故かはわからないが、風貌について褒められることを本人はことのほか嫌がる。だからあえていつも頭をぼさぼさにして、見た目の良くないスーツを着ているのかもしれない。ある意味、奥ゆかしいというかなんというか。とにかくミン刑事はそういった性質の持ち主なのである。


 そんなミン刑事に小遣いをやるからと言われ、呼び出された。殺人現場に、である。被害者の女性の年齢は七十一。職業は『占い師』らしい。腹部を刃物で刺された挙句の失血死とのこと。なるほど。クッションフロアにそれらしい血痕が広がっている。遺体はミン刑事の指示によってすでに警官の手によって運び去られたあとらしい。


 現場は『フートン』の一角にあるアパートの一室だ。一階である。玄関の鍵は閉められていて、ベランダに続くガラス戸にも細工が施されているということで、なのでパッと見は、密室だということだ。ミン刑事がガラス戸をがたがたと動かす。そのうち、ガラス戸はがらっと開いた。


「しょーもねーな」舌を打ったミン刑事である。「密室っぽく見せるにしたって、もう少しやりようがあるだろうに」

「ええ。そのガラス戸は簡単に開いたようですが?」

「ボンドだよ」ミン刑事は身を屈めてガラス戸の桟を右手の人差し指でなぞった。「こりゃ瞬間接着剤だな」

「玄関の鍵を閉めてからベランダに出て、桟にボンドを塗りたくった上で戸を閉めたということですか」

「そう言っている。まったく、『糞』が付くくらい下手くそな密室だ」

「容疑者は?」

「わからん。だからおまえに調べろと言っている」

「いくらなんでも情報が少なすぎますよ」

「例えば」

「例えば?」

「犯人はヤクザだったとする」

「だとすると?」

「どこのヤクザであろうと、俺は『がさいれ』なんかしたくねーってのが本音だ」

「察しました。ヤクザを探ると、頂戴する『賄賂』に関わってくるということですね?」

「そういうことだ」

「でしたら、本件はいっそ、水に流してはと思いますが?」

「俺は一応、警察官だ」

「半端な正義感ですね」

「探せと言っている」

「ですから、情報が少なすぎると言っています」

「そうであってもなんとかするのがお前さんだろう? ええ? 探偵サン?」

「ふむ……」

「なんだ? 早速、何か思いついたのか?」

「そんな都合良く何かを思いついたりはしませんよ。ただ、『いち』から探ってみようとは思います」

「報酬はどうする? 先払いがいいか?」

「いえ、後払いで結構です。私はまだ何もしていませんから」

「そのへん、お前はブレねーな」

「ええ。だって私は探偵ですから」


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