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超Q探偵  作者: XI
136/204

30-5

 二日後の朝。


 回転椅子について朝刊を広げているさいちゅう、メイヤ君がデスクの右辺に乗り上げる様子を視界の端に捉えた。ぐーすか寝入っていたのだが、どうや目を覚ましたらしい。彼女のほうを一瞥する。頭にはボルサリーノ。ピンク色の下着姿である。前夜もさっさと服を脱ぐなりソファの上で眠ってしまったのだ。


 新聞に目を戻すと、「おはようございます、マオさん」との挨拶があった。


「ああ、おはよう。メイヤ君、まずは服を着なさい」

「風邪なんてひきませんよぅ」

「目の毒だと言っているんだ。きちんとなさい」

「はーい」


 メイヤ君が服を着て、戻ってきた。改めてデスクに腰を下ろす。


「それにしても、あーあぁ」

「なんだい?」

「いえ、先日の一件、後味が悪いままだなあと思いまして」

「双子の事件のことかい?」

「そうです。疑わしきは罰せずという理屈はわかりますけれど、どちらかが犯人であることは間違いないわけです。なのに裁きようがないだなんて……」メイヤ君はしゅんとした声を漏らした。「事実として被害者はいるというのに、ヒドいです」

「私もそう思う。しかしだ」

「しかし?」

「いや、その件についてかどうかはわからないけれど、今朝の朝刊には興味深い記事が掲載されていてね」


 私は折り畳んだ新聞をメイヤ君に手渡した。紙面を見るなり彼女は目を大きくして、「えっ!」と驚いたふうな声を発した。


「えっ、えっ? ちょっと待ってください」

「何を待てばいいんだい?」

「だってこれ、双子の死体があがったとか」

「ああ。自宅で殺されていたようだ。二人とも頭を鉄砲で撃ち抜かれて」

「この双子って、ひょっとして……」

「そうだね。くだんの双子なのかもしれないね」

「あっ、その、思い出しました」

「何をだい?」

「マオさんって、ミン刑事に双子の住所を尋ねていらっしゃいましたよね?」

「そうだったかな?」

「そうでしたよ。まさか、そんな、マオさんが……? いつ、殺したんですか? わたしが夜、寝ているさいちゅうにですか?」

「何を言っているのかな、君は。良くわからないな」


 私はひらひらの前髪を指で弄びながら、小さく肩をすくめて見せたのだった。


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