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超Q探偵  作者: XI
119/204

27-3

 翌日。


 困った。我が助手が帰宅しない。夜が深まる中、街中を探して回ったのだが、彼女に関する情報はまるで得られなかった。悪い想像が働いた。昨日のワイドショーがヒントではないだろうか。賞金に目が眩んだのか、あるいは面白半分で首を突っ込のか、それはわからないが、ヴァルナ教に探りを入れようとしてなんらかのトラブルに巻き込まれたのではないかと予感させられた。


 公園のベンチに座り、頭を抱えた。メイヤ君のことを呪いたくもなった。何も言わずにいなくなることはやめてほしい。それだけはやめてほしい。やはりミン刑事に協力を仰ぎつつ、結社の居所を片っ端から洗うしかないないのだろうか。


 眠気も空腹も感じないまま迎えた翌朝の九時。


 白い囚人服のようなつなぎをまとった男女二人が公園の入り口に現れた。大量のビラを抱え、それを通行人に配っている。受け取るなり捨てるニンゲンばかりだ。それでも彼ら二人は熱心に配布を続ける。


 ヴァルナ教の信者だと確信し、私は彼らのもとに近づいた。ビラを受け取る。モレル氏が座禅を組んでいる写真がのっていて、『肉体を捨てよ。魂を解放せよ』などという文面が記されている。


「入信希望者ですか?」女性からにこやかにそう問われた。

「入信を希望しているわけではないのですが」正直にそう告げた。「一つお伺いしたい。さくじつ、金色の髪をした女性がここを訪れませんでしたか?」

「はい。いらっしゃいました。とても素直なかたでしたので、すぐに教会へとご案内しました」

「教会?」

「ええ。教会です」

「あなたがたは、他者には危害を加えないのですね?」

「それは勿論です。ヴァルナにおいては、肉体を捨て、魂を解き放つことは、本人の自由とされています」

「その教会とやらに、教祖はいらっしゃるのですか?」

「そうですけれど……」女性が露骨に眉をひそめて見せた。「貴方は何者なんですか? もしかして、教祖様のお命を狙う賞金稼ぎなのではありませんか?」

「そうではありませんよ。ただ、そうですね。ええ。胸襟を開きましょう。実は入信希望者だったりします」

「そうであれば歓迎します」警戒心は一気に解けたようで、女性はにっこりと笑って見せた。「教会に案内いたしましょう」

「お願いします」


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