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氷姫  作者: 秋元愛羅
14/32




もうすぐ20回目の食事を取ることになろうとした日だった。


やけに廊下側がうるさかった。


犯人たちが警察の動きに気づいたのかそれとも・・・


ドン


「おい、早く出ろ」


「どうして?」


「早くしろって言っているだろうが」


いつも食事をくれる(かわいそうだと思ったのか飴やらクッキーやらを差し入れとしてくれるようになった)人ではない。


ということは、犯人は二人か三人か。


「悪いけど逃げられるチャンスを逃がすほど馬鹿じゃないから」


「は?」


グッと腹を殴った。


こういうとき空手とか習っていてよかったと思うわ。


「それじゃあ」


見慣れない廊下をたどる。


危険なときは先手必勝。


「あ・・・あいつは?」


「トイレ」


「そう、君は何がしたい?


シャワー?食事なら用意するけれど」


ん?この人は私のこと知らないの?


「私のこと知っていますか?」


「え?君は晴彦の従妹の子で引きこもりだから連れてきたんだけれど外に出ることを嫌がってたんでしょ?」


不思議そうに聞いてくる彼の言葉に引っ掛かりを覚える。


もしかして共犯者じゃない?


グルなのかしら?


「痛って・・・泉こいつ捕まえて部屋に戻せ。


てめぇ後で覚えていろよ」


「あら?お友達をだましていいご身分ね。


それとも誘拐犯とでも呼べましょうか?晴彦さんとやら」


「ゆ、誘拐犯?!晴彦どういうこと?」


「チッ、後で話す。


先のその小娘どうにかしろ」


「玄関どっち?」


「あっちの扉を開けてまっすぐ。


先に警察に電話するんだよ。


こいつは後で自首させるから」


「ありがとう」


意外なあっさりだったわね。


ずっと犯人はここの所持者、それから最低でも2人そう思っていた。


なのに実際は犯人は一人。


ん?じゃあ、私を落としたのは・・・こいつ?


「よう、お嬢ちゃん。どこ行くんだよ」


「やっぱり間違ってはなかったわね」


「何を間違っているのかは知らないがさっさと部屋に戻ってもらおうか」


「悪いけど迎えが来たみたいだから」


コツンコツンと外から音がする。そしてガチャリと開くと・・・・


「ハロー?元気みたいね」


「は?」


「相変わらず空気が読めない人ですね」


マリちゃん登場。


一応警察がついているみたいだけどこっちの方が気になる。


なんて格好ですか、いい歳したオバさんがコスプレして。


「一応助けにきたんだから感謝してよ。


さ、こっちに来て」


「言われなくても。


あ、ここの本当の住民は関係ないようですからそこは気をつけて」


「調べ済み。


さっさ、うちに来てお茶でもどうぞ」


「先にシャワー貸してください。


すごい気になっているのです」


「じゃ、シャワーの後にするか」


後ろからは出遅れた警察たちが犯人たちを捕まっている。


ちゃちゃっとすべてが終わったような話をしているが雰囲気だろうか、まだやばいことが残っているような気がする。


いや、絶対に決定的な何かがある。





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