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断るのが予想外だったのか(私からしてみればどうして断らないと思ったのか不思議だ)貧乏ゆすりをしながら食べているのをじっと観察しながら次は何を言い出すのか伺っていた。
そして貧乏ゆすりが止まった。
「思い出したのだけれどもうひとつ提案があったんだ。
君のお父様にお願いしてくれないかな?
今成功しそうな商品があるんだ。
でもバックアップが足りない。
その資金が欲しいんだ。
もちろん時間は掛かるけれど返す保障はする。
どうかな?」
この時点で順番がおかしい話をしてるって分からないのかしら。
なぜ直接いわず私という関係ない立場の人間に言うのか。
そしてこいつが何の狙いで私を狙っているのかも手の内なのに。
ここでさっさと退散した方がよさそうね。何仕出かすか分からないもの。
「悪いけれど正直言って無駄なことをする時間はないの。
ここでお暇するわ。さようなら」
「こ、こんないい話はないと思うが?」
「業績が悪くなる一方の会社の戯言でしょ」
「なっ?!」
「それともうるさい虫の鳴き声かしら?ようやくせみが鳴き始めたようですからね」
「お、俺を侮辱するのか」
「忙しいのでこれで」
こういう相手には相手にしない方がいい。
ぼろをさっさと出してくれると良いけど相手は逃げ足の技術は一枚も二枚も上手だからだ。
どうして神様はこいつなんかにこういう才能だけを与えたんだろう。
「もしもし、マリちゃん?」
「どう?華音ちゃんから話は聞いたけれど・・・」
「やっぱり睨んだとおり私の当主権が欲しいそうです。
多分また接触を試みると思います」
「気をつけて。こっちも手を回してるけれどやっぱり血がつながってるからっていう理由なのか先回りされてる。
出来るだけ急ぐから」
「ありがとうございます」
ピッと電話を切る。
まさか接触という大胆な行動に出るとは思わなかった。
4年前に止めをさせなかったのが原因か。
それがどうであろうと今は関係ない。
今、やるべきことは・・・・あたしの大切な人たちを守ること。
あいつの魔の手に掛からないようにすること。
それをさせるようにしなければ・・・・




