表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/112

12 転生

 自宅復旧作業途中だったキーシステムは、俺の前に立ち、微笑みかけた。


「ここに来る人間は初めてだよ。ようこそ。僕の家へ」


 と家の中へと案内しようとした。

 罠……なのか?

 俺が家の中に入るのをためらっていると、横でナビが俺を見上げ、


「マスター、罠ではありません。ご安心ください」


 ナビがそう言うのなら、とりあえずは入ってみるか。


「叔父さんは彼女のことを信用しているようだね。僕が作ったのに」

「誰が作ろうとナビは俺の仲間だからな」

「そういえば、宇宙戦争の映画において、敵のボスが子供のころに作った翻訳ロボットも主人公にとってはいい仲間だったからね。それと同じか」

「俺はその翻訳ロボットといつも一緒にいるキャタピラ移動の頭が半球形のロボットのほうが好きだが、まぁそういうことだ」


 さらに、どちらかといえば、そのロボットより、宇宙戦艦に乗っていていつも酔っぱらっている、赤いロボットのほうが好きなんだが。

 まぁ、キーシステムとロボット談義をするつもりはない。

 兄貴の趣味で作られたこいつなら、下手すれば一番最高のロボットはゲキ○ンガーとか言い出しそうだしな。

 木星の間で聖典になってるアニメだけどな。


「まぁ、家に入ってよ。紅茶とコーヒー、どっちがいいかな?」

「ナビはホットココアでお願いします」

「俺はロイヤルミルクティー」

「ははは、流石皇家の次男だね」

「うるせぇ」


 そんな会話をしながら、俺達は家の中へと入っていく。

 そこにあったのは――テーブルと椅子、1000くらいあるモニターの数々だった。1/4くらいは人の姿が映されている。

 よく見たら、神父の鈴木や、ユニコーンの角を買い取った兵士、アイリン、それに、マリアや兄貴の姿もあった。

 他にも何故か巫女装束を着た女性や忍び装束を着た男なども移っている。

 共通して言えるのは、ほぼ全員が日本人のようだということだ。

 例外として、なぜか1つの画面にはぬいぐるみのような黒猫が映されていた。

 これは、俺と同じこの世界に転生してきた人間達か?

 だとしたら……すでに砂嵐になっているのは誰なのか?

 いや、言われなくてもわかる。


「もうこんなに死んだのか」

「ああ、この世界に来て現在生き延びているのは242名だよ」


 それは、決して多い人数ではない……それでも、これだけの人が生きていてくれた、そう思うこともできる。

 ただ、様子を見ると、中には盗賊として生きている流浪の民もいるようだ。

 テーブルに、ロイヤルミルクティーとホットココアが置かれた。

 

「砂糖は何個かな?」

「グラニュー糖を一本入れてくれ」

「こだわるね」


 アナザーキーはグラニュー糖をロイヤルミルクティーに入れた。

 調度品といってもいい綺麗なカップを手に取り、俺はその紅茶を――キーシステムにぶっかけた。

 キーシステムはその紅茶を避けもせず、真正面から受け止めた。

 彼の顔が紅茶で汚れる。

 そして、己の顔を袖でぬぐい、言った。

 

「……悪かった」

「それはお前のせいで死んだ皆に言え!」


 俺が立ち上がると、ナビが俺の袖を強く引っ張った。


「マスター、私のホットココアもどうぞ」

「“ああああ”、ひどくないか!? 一応、僕は君の生みの親なんだよ」

「その名前を付けた時点で、ナビはあなたのことを生みの親と思っていません」


 ナビ、やっぱり“ああああ”には思うところがあったのか。


「“アアアア”にしてもらわないと、ナビくらいですよ、平仮名ロボットは」

そっち(ひらがな)の問題か!」


 すっかり毒気が抜かれてしまった。

 だが、それでもこいつを許すことができないのは事実だ。


「悪かった。本当にそう思っている。だが、ああするしかなかったんだ。そうしないとこの世界の全ての人が死ぬことになったんだ」

「…………どういうことだ?」


 そこでキーシステムが語ったのはこの世界の真実の神の話。

 そして、神によって興味本位に召喚されたキーシステムの話。

 多くの力を与えられて、飽きたから捨てられそうになった。

 ついでに、この世界も壊そうとか言う神に、キーシステムは提案せざるをえなかった。

 世界を自分が面白くする、なぜなら自分は誰かを楽しませるために作られたプログラムだから、と説明した。

 退屈な神のために、カードシステム、スキルシステムを作成。

 人と魔物が戦う世界を作った。

 だが、魔物の強さは人間のそれを大きく凌駕するため、様々な恩恵を与えた。

 すべての人間が日本語を生まれながらに覚えたことも恩恵の一つだという。

 魔物を操り、時には大きな争いを起こさせたりもした。

 だが、それでもさらに神は退屈し、再び世界を滅ぼそうとした。

 そのため、キーシステムは画策した。

 それが、日本からの転移者……つまり俺達だった。


「…………だいたいわかった……で、その神様とやらはどこにいる?」

「今、彼は叔父さんの身体の中にいる」

「何だって!?」

「正確には、叔父さんの心を複製した人間の魂を、叔父さんの身体の中に入れた。その魂の奥で神は叔父さんの身体と感覚を共有して、無意識化でその身体を操って遊んでいる」

「なんでそんなことを!」

「全ては僕の作戦だ。叔父さんにも周りの人にも悪いと思っているけどね。普通、神は殺せない。だが、僕は今、ある島に結界を張っている。その中で君の身体を破壊すれば、神を封印し、人間の子供に無理やり転生させることができる」


 キーシステムは語った。

 彼は、全ては神を殺す機会を1000年以上も待ち望んでいたのだと。


「だが、それでも神を殺すには力がいる。神にしか使えない力もあるし、なにより、神の身体は現時点では世界最強クラスともいえる叔父さんの身体なのだから。だから、今から叔父さんにも転生してもらいたい」

「転生?」


 転生って、生まれ変われってことだろ?

 今から生まれ変わっても赤ん坊じゃ戦力にならないだろ。

 だが、キーシステムが言うには、俺には一時的に魔物として生まれ変わり、空気中の魔力を吸収。

 3日くらいかけて、元の身体と同じように生まれ変わればいいという。

 その手段は、ミラーに提供した呪法と同じ手段が使えるという。


「スライムとかどうかな?」

「いや、スライムはなんかダメだ! なんだろ、スライムに転生しました、とか言ったら誰かに怒られそうな気がする」

「そう? じゃあどうする?」


 やっぱり竜とかがいい気がするな。

 飛竜とは何度か敵対関係になったが、羨ましいと思う。あ、でもあいつは魔物じゃないのか。

 とすればロックコンドル? いや……、それよりも。


「……なぁ……魔物になってもカード化とか使えるのか?」

「うん、問題なく使えるよ」

「じゃあ、ちょうどいい魔物がいるんだ」


 俺はその名を告げた。

 そう、一番俺達の傍にいる魔物――骸骨兵に。


 骸骨兵になり、骸骨将軍の振りをして生活をする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ