第72話:リヴァイテーゼ戦 後編
「わははははははは! 自慢の守りが通用しない気分はどうじゃ! このっ! このっ! もっとくらえなのじゃ!」
魔王は高笑いをしながら隕石を操ってリヴァイテーゼに攻撃を繰り返す。隕石が命中するたびにリヴァイテーゼは大きな悲鳴を上げた。
隕石の登場で戦局は大きくこちらに傾いた。
しかし突然、リヴァイテーゼに大きな異変が起きた。
リヴァイテーゼの体色が黒色に染まり、全身から黒い炎を発してたちまち燃え始めたのだ。
その姿はまるで業火に包まれた炎の化身のようであった。
リヴァイテーゼは咆哮を上げる。
「なっ!? リヴァイテーゼの体が燃えた!?」とレラが驚く。
「リヴァイテーゼに第二形態があったなんて!」
「皆さんは大丈夫でしょうか?」とフェルメールが心配した表情で祈る。
一方、魔王は余裕の表情を浮かべる。
「ふん、突然体が燃えたからなんだというのじゃ。この戦いは隕石を操る妾が圧倒的に有利。次の一撃で綺麗に決めてやるのじゃ!」
「待てアルバトロス! なにか様子が変だ! 不用意に攻撃を仕掛けるのは危険だ!」
とロイドは叫んだが、アルバトロスはまるで聞いていない。
リヴァイテーゼめがけて意気揚々と隕石を射出する。
しかし、リヴァイテーゼが反撃する。
隕石に向けて勢いよく光線を放つ。
はじめ、隕石と光線は拮抗したかに見えたが、徐々に魔王側へと押し戻していく。
「な、なんだこのパワー!? ぐぐぐ、ぐわああああああ!」
魔王は力勝負に敗北する。
跳ね返ってきた隕石に衝突して吹き飛ばされて、魔王は悲鳴を上げながら、そのまま廃墟の建物に突き刺さった。
予想をはるかに超えるリヴァイテーゼの魔力放出量の上昇にロイドも驚きを隠せない。
魔王がいなくなった今、戦況はふたたびリヴァイテーゼに傾いた。
「アルがやられるなんて……!」
「だから危ないと言ったのに……」
ウンディーネはというと茫然と立ち尽くしていた。
負けたのが信じられないというような悲痛な面持ちだ。
リヴァイテーゼは、今度は彼女に向けて光線を放つ。
すぐさまロイドが間に入って結界を張った。先程以上の大きな衝撃が結界に伝わる。
(くっ……! なんて凄まじい衝撃なんだ。一瞬でも気を抜くと結界が破壊されそうだ)
ジリジリと結界が悲鳴を上げるが、ロイドは気合で攻撃を防ぎ切った。
そして、攻撃と攻撃の合間を縫って、間髪入れずにウォーターダイダロスを放つ。
見事頭部に直撃したが、その攻撃はリヴァイテーゼを包んでいる黒い炎によって、あっけなく阻まれてしまう。
一瞬、それを見て挫けそうになった。
が、背後から声援が聞こえてくる。
「ロイドさんがんばれー!」
「負けるな先生!」
「ロイド様! お願いです! アトランタ王国を! みんなを救ってください!」
ロイドはハッとなった。
―――かつて彼は、
孤独のあまり、戦いの目的を見いだせなくなった時期があった。
パワハラ幼馴染、世間からのバッシング。
どんなに自分が一生懸命頑張ってもそれを認めてくれる人など誰もいなかった。
でも、今は違う。
自分は多くの想いを背負ってリヴァイテーゼの前に立っている。
信じてくれる友達、認めてくれる友達、祈ってくれる友達。
半年前の自分には何ひとつなかった宝。
彼はそれを思い出した。
苦しい状況だからこそ、彼はその価値に気づいた。
(……そうだ。俺は自分一人で戦っているんじゃない。みんなの想いを背負ってここに立っているんだ。俺が諦めたらそこで終わりだ。俺は……最後まで諦めない!)
頭をフル回転させながら突破口を探す。
そして、持ち主がいなくなった隕石が残されている事に気づいた。
最終的にリヴァイテーゼの力で押し返されてしまったが、隕石が実際に通用していたのは事実。
あと一歩の所までだった。
「だったら……! 俺がアルバトロスのあとを引き継ぐ!」
ロイドはその隕石にすべての望みをかける事に決めた。
しかし、普通に投げただけでは、さっきのように押し返される可能性が高い。
力負けしないやり方で隕石を射出しなければならない。
それを悠長に考えている暇はない。
己の持っているすべての魔力と知識と技術を集結させて全力で魔法を使う。
それだけだった。
ロイドは隕石とリヴァイテーゼが対角線上になるように移動する。
呼吸を整え、呪文を詠唱する。
魔力の余波で地面が抉れ、魔力の大きなうねりが発生する。
「ウォーターダイダロス!」
ロイドから放たれた巨大なウォーターダイダロスは隕石を呑み込む。
すると、隕石の聖法力の力によって、ウォーターダイダロスは金色に輝く竜へと超進化した。
その大きさはリヴァイテーゼをゆうに超えるものだ。金色の竜は上空へとの昇り、リヴァイテーゼを見下ろす。
そのままリヴァイテーゼめがけて一気に急降下。
リヴァイテーゼも迎え撃つように光線を放つ。
しかし、金色の竜はそれをもろともせず突き進んでいき、リヴァイテーゼの全身を津波のように呑み込んだ。
リヴァイテーゼが見えなくなり、それから少しの時間が過ぎた。
魔法の勢いが収まる。そこにはリヴァイテーゼの姿。ぐったりと俯せに横たわっている。
先程までの禍々しい黒い炎はなくなっており、まるで悪い憑き物が落ちたようであった。
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リヴァイテーゼ戦がようやく終わりました。予想以上に長かった気がします。
次回の更新は1月20日(金曜日)となります!
また、現在、第1巻が発売中ですのでぜひ手に取って頂けると幸いです!
追加部分も多いので、すごくパワーアップしてると思います!




