第71話:リヴァイテーゼ戦 中編
2023/01/14にストーリーを大幅修正しました。
2023/01/15にストーリーを少し修正しました。
追伸
次回の更新は1月15日の夜19:00となります!
両者の威力はほぼ同程度。
お互いの攻撃は相殺される形で決着した。
しかし、息つく暇もなくリヴァイテーゼは三回目の光線を放とうとする。
「させるか! ウォーターダイダロス!」
今度は無詠唱で魔法を放つ。
ロイドが放ったウォーターダイダロスはリヴァイテーゼの光線を貫通してリヴァイテーゼの顔面に直撃した。
「ギャアアアアア!」
リヴァイテーゼは大きな悲鳴を上げて仰向けに倒れた。
ドシーンと大きな音が周囲に鳴り響く。
そしてそのまま動かなくなった。
「ふぅ、なんとか無詠唱が成功して良かった」
それを確認したロイドは今度こそ安堵の息を吐いた。
「おお! マジですげえ! 先生最高!」
「ロイドさんかっこいい!」
マルスとレラはそれぞれロイドを称賛した。
ロイドの強さに驚かされたのは彼らだけではなかった。
ウンディーネも同じ気持ちだ。
ロイドという人物がどれほど優れた魔導士であるかを肌で実感した。
また、ウンディーネが驚かされたのはそれだけではなかった。
ロイドは周囲を見渡し、すばやく詠唱を行う。
エリア全体に上級治癒魔法のメガヒーリングをかけた。
傷を負っていた兵士達の傷がみるみるうちに塞がっていく。
ウンディーネも、今の魔法で完全に完治した。
「あ、ありがとうございます、助かりました。えっと、今のはもしかしてロイドさんがやったのですか?」
「はい。このエリア全域に治癒魔法の範囲を指定したので、けが人の漏れはないと思います」
「エリア全域!?」
ロイドの魔法はウンディーネにとってすべて規格外。
ロイドの言葉にウンディーネはビックリ仰天してしまう。
「そ、それともう一つ。あのリヴァイテーゼに魔法攻撃が通るなんて夢みたいです。ロイドさん、いったいどんな魔法を使ったんですか?」
ウンディーネは、先程攻撃が効いた理由をロイドに尋ねた。
「奴が口を開いたタイミングに合わせてこちらも魔法攻撃を放ちました。耐性のある大型モンスターは数多くいますが、体の内側まで耐性のあるモンスターは少ないので、もしかして……と思って、試しに口を狙ってみましたが、どうやらドンピシャだったみたいです」
「ほうほう……って、ええ!? そんな事が現実的に可能なんですか!?」
彼の言っている意味はなんとなく理解できたが、それが実現可能かと言われたら話は別だ。
タイミングを測る必要もあり、かなり難しいはずだ。
ロイドの勝負強さには尊敬の念すら覚える程だった。
「ガアアアアアアアアア!」
すると、ちょうど同じタイミングで、リヴァイテーゼが咆哮を上げながら起きあがった。
現在は激痛に悶えるような表情で頭部を振っている。
耐性のある属性とはいえ、最上級魔法をモロに喰らってなおも起きあがるリヴァイテーゼに対して、上空にいるレラ達が悲鳴を上げる。
緊迫した戦況の最中でも、ロイドはさりげなく、
リヴァイテーゼを最終的にどうしたいか、とウンディーネに尋ねた。
「個人的に殺さないで頂けると嬉しいですが、状況が状況ですし、討伐も仕方ないと思います……」
やはり歯切れの悪い反応だった。
ウンディーネ本人も納得してるようであったが、本心では討伐を望んでいないのは、ロイドにもすぐにわかった。
生半可な魔法が効かず、さらに魔法を跳ね返す相手に、魔法の威力を調節しながら殺さないように無力化する。
表情には一切出さないが、ロイドはかなり高度な技術を求められていた。
(いずれにせよ、リヴァイテーゼを封印するためにはある程度弱らせる必要がある。もう少しダメージを与えないといけないな)
ロイドはそう判断する。
ロイドは三度目のウォーターダイダロスを放つ。
研ぎ澄まされた水の竜は、ゴオオオと高い音を立てて飛ぶ。
リヴァイテーゼに着弾する寸前。
――――ヒュン!
嫌な音が響く。
リヴァイテーゼが頭部を左右に振って攻撃を避けたのだ。
そして、さらなる攻撃を仕掛ける。
リヴァイテーゼが光線を放つ。
すかさず前方に結界を張って、跳ね返ってきたウォーターダイダロスを防ぐ。
激しい音が鳴った。
「リフレクト!」
結界に反射能力を与えて、リヴァイテーゼの攻撃をさらに跳ね返すが、リヴァイテーゼはそれも回避した。
ロイドは小さく舌打ちする。
(動き方が変わった……少々厄介だな。少し戦い方を見直す必要があるな)
現在、ロイドはウォーターダイダロス主体の攻撃を行っている。
ウォーターダイダロスは水魔法であるため、近くに水があれば威力を調節しやすく、さらに消費魔力も抑える事ができるからだ。
とはいえ、最上級魔法である事には変わりないので、あまり連発はできない。
もう少し安定してダメージを与えられる方法がないかと模索する。
すると突然、上の方から笑い声が響いた。
「ふはははは! ロイドよ。随分と苦戦してるみたいじゃな」
なんとなんと!
ロイドの視線の先には魔王アルバトロスが浮かんでいた。
ロイドだけでなく、ウンディーネ様も魔王の登場にとても驚いていた。
「アル。どうしてアナタがここにいるんですか?」
とウンディーネ様が尋ねた。
「くっくっく、助っ人みたいなものじゃ。懐かしい魔力を感じてな。ここまで来てやったのじゃ」
「お前、どうやってここに……空を飛べたのか」
「空を飛ぶなど造作もない。セフィリア達が警戒するから飛ぶのを控えていただけじゃ」
魔王は喉を鳴らしながら笑った。
「なるほど。そういう理由だったか」
「ところでアル。アナタはどうしてここにやって来たのですか? 以前言ってましたよね。もう二度とアトランタ王国に近づかないと……」
当時のやり取りを思い出したようで、ウンディーネは別の疑問を投げかけた。
「ウンディーネよ。お主は一つだけ勘違いしてることがある」
「勘違い?」
「大切な友達を守るのに理由なんて必要ない」
「!!」
「か、かっこいい!」
今の言葉をロイドはかなり気に入ったようで、とても感動していた。
今度誰かに使ってみたい。アイリスに使おうかな。
とも考えていた。
(でもいつ使おう。なんか都合よくピンチになってくれないかな)
「喧嘩別れに近い形となってしまったのじゃが、本当はお主と仲直りしたいとずっと思っていたのじゃ」
「……」
「それとも、お主は妾と違う気持ちなのか?」
魔王はションボリとした表情を浮かべた。
「……そんな事あるわけないじゃないですか。私もアルと仲直りしたいです」
ウンディーネ様のその言葉に魔王は笑顔を浮かべた。
「そうかそうか。それならお互いに意地を張るのはやめよう。今は状況が状況だ。リヴァイテーゼを無力化する事に尽力を尽くそうじゃないか」
喧嘩別れしてから再会するまで100年以上も時間を有してしまったが、再会後はすぐに仲直りできた。
やはり彼らは相性がいいのだろう。
とロイドは結論を出した。
「それはそうと、さっきアナタが一瞬口にしたセフィリアって女性は誰ですか? 一度も聞いた事がない名前ですが……」
その言葉に、アルバトロスはギョッとする。
ウンディーネにヤンデレの性質があるのは俺も把握している。
ロイドは慌てて魔王に助け舟を出す。
「ウンディーネ様! その続きはリヴァイテーゼが片付いてからにしましょう!」
「ろ、ロイドの言うとおりじゃ! 今はリヴァイテーゼが重要じゃ!」
「……なんだか釈然としませんが、それも一理ありますね。わかりました」
魔王は安堵のため息を吐いた。
ふぅ……ギリギリのところで拗れずに済んだな。
「妾が来るまでよく持ちこたえたなロイド。あとは妾に任せるのじゃ」
「なにか秘策があるのか?」
「リヴァイテーゼを正気に戻す事ができるアイテムを持ってきた」
「!? そ、そんな都合のいいアイテムがあるのか!?」
「くくく、実はお主も知ってるアイテムじゃ」
どんなアイテムなんだろう……。
アルバトロスは、わざとリヴァイテーゼの視線の先に移動する。
「お、おい! そんな事すればお前に攻撃の矛先が向くぞ!」
「くっくっく、心配ご無用」
リヴァイテーゼはアルバトロスに向けて光線を放つ。
しかし、魔王は余裕の表情でそれを対処する。
突如、巨大な岩が出現してアルバトロスをリヴァイテーゼの攻撃から護ったのだ。
巨大な岩は傷一つついておらず、アルバトロス自身も無傷。
「ま、まさかそれは……」
「くくく、あの牧場から拝借してきた隕石じゃ。驚くのはまだ早いぞ!」
「……って、あの謎の隕石『スーパーアイリス』かよ!」
聖法力がアイリスの300倍もあるすごい岩。
アルバトロスはそれをわざわざここまで持ってきたのだ。
アルバトロスは指を鳴らす。
すると、実際に触れることなく、アルバトロスは隕石を操り始めた。
隕石が弾丸のような速度で発射されて、リヴァイテーゼの胴体に直撃した。
リヴァイテーゼは悲鳴を上げてあっけなく倒れた。
さらに全身を包んでいたウォータープロテクトも消滅した。
「リヴァイテーゼに攻撃が効いた? しかもウォータープロテクトまで解除されただと……!?」
「アル……いったい何をしたんですか?」
驚いた表情を浮かべ、ロイドとウンディーネはそれぞれ反応する。
「聖法力を利用したのじゃ。ロイドもご存じのとおり、この隕石には聖法力が宿っている。一般的には知られてないが、聖法力には神属性の力が宿っているのじゃ。神属性はすべての属性の中で最強! つまり、この隕石は世界最強の武器なのじゃ!」
アルバトロスはニヤリと笑みを浮かべた。
「正体のわからない謎の隕石が世界最強の武器ってのもなんかやだなぁ……」
ロイドは正直にそう感想を述べた。
「ワガママ言うな! 現に相性がいいではないか! ウォータープロテクトも無力化できてるのじゃ!」
「そ、そう怒るなよ。わかってるって。助っ人に来てくれて助かったよ」
「かっかっか! そうであろう、そうであろう。妾は最強じゃからの。もっと感謝するのじゃ!」
魔王は調子に乗ったような口調で大声で笑った。
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現在、本作の第1巻が発売されておりますので、ぜひ手に取って頂けると幸いです!
詳細はあとがきに記しております!




