第18話:冒険者ギルド(後編) 妖精竜
今回は長いので三つに分けました。
今回は妖精竜の説明が中心となります。
女性職員はロビーの中央を指差しながら説明を続ける。
「また、国内の領域分布はそちらの大掲示板に貼られている国内地図でわかりますので各自ご確認ください。
朝7時と夜7時の二回ずつ、最新状況を貼り出します。
領域変動が確認された場合は時間問わずすぐに貼り出しますので、ギルドにやってきた際は必ず目を通してください。
自分の命を守るのはこまめな情報チェックです。
いま現在のミネルバ周辺の危険領域は《ヴィッド大森林 深層》、《コッコロ鉱山 深層》の二つです。
また、ここ最近皆さんが一番気にしている未開領域は《ミネルバ山脈 頂上》です」
「ミネルバ山脈ってここからめちゃくちゃ近いじゃん。この頂上に何かいるんですか?」
マルスが女性職員に尋ねた。
「五大竜の一つとされる《妖精竜》が確認されています。
おそらく何らかの原因で住処を移動したのでしょう。
現在ギルドの方では下手に刺激しないという方針で進めております。
皆さんも死にたくないならここだけは絶対に立ち入らないでください。
あっ、これは前フリじゃなくて本気で言ってますからね」
妖精竜か。
超回復能力と超防御力を誇る五大竜の中でも最強の存在。
能力値はなんとマスター級を超えたクロニクル級。
俺は直接会ったことはないが、文献によると100年前の勇者パーティを一回壊滅させたほどの圧倒的な強さを誇る。
二戦目での再戦で見事討伐されたが、歴史書にも妖精竜という単独項目があるほどだ。
それと同種族の別個体がしれっと街の近くにいるという恐ろしい事実。
精神衛生上あまりよくないね。
「ロイドさん。退治に行こうなんて絶対に考えないでくださいよ。ギルドがあえてスルーしてる意味をしっかりと理解してくださいね」
「俺だって馬鹿じゃない。危険な所にはわざわざ足を突っ込まないよ」
「本当ですか~? 一週間後にはミネルバ山脈の頂上で対峙していたりして」
俺に対しての信用度がゼロすぎる。
勇者パーティを壊滅させたほどの化け物にわざわざ喧嘩を売るわけないだろ!
「まあそんな感じです。
自分に合ったランクの領域で精一杯頑張ることが一番大事です。
ちなみにBランク以上になるとボーナスがあるので、皆さんはBランクを目標に頑張ってますね。
それでは冒険者生活頑張ってください」
どうやら説明は一区切りついたようで俺に冒険者カードを手渡した。
サイズは手帳くらい。
カードを指でなぞると現在のランク、言語変換、能力値、現在引き受けている依頼など、画面が次々と切り替わっていく。
結構おもしれー。
次々に変えてみると、女性職員にたしなめられた。
「あまりやりすぎますと、カードの魔力が切れるのが早くなりますので、お気をつけ下さい」
「魔力切れが起きたらここで補充できるのか?」
「はい。ギルドで補充できます。補充は無料ですが10分ほどかかりますね。
また、正午などの混雑時は対応に時間がかかりますので、補充の際は人が少ない時間帯を選んで来るのをオススメします」
「了解」
レラとマルスが笑顔でやってくる。
「やりましたね先生……じゃなくてロイド」と呼び方を改めるマルス。
一応しばらくの間は人前では先生ではなくロイドと呼ぶそうだ。
感心感心。ちゃんと昨日の彼女の言いつけを守ってて偉いね。
そういう律儀なところは彼の長所だ。
「これでロイドさんも冒険者の仲間入りですね」
「まずはどの依頼からやればいいんだ?」
俺はレラに聞いた。
「ロイドさんの実力ならどの依頼を選んでもいいと思いますよ。
強いて言えば盗賊退治のような知性を持っている相手の討伐依頼はオススメしません。
リスクが高い割にリターンが少ない地雷と言えるでしょう」
「ふーん、じゃあ俺の好きに選んでいいんだな?」
「これはお前の物語だ。好きに依頼を選ぶがよい」
レラは覇王っぽい口調でそう言った。
じゃあお言葉に甘えて好きなのを選ばせてもらおうかね。
冒険者ロイド。
俺のセカンドライフはここでようやく始まりを迎えた。
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次回から新展開となります。
冒険者編スタートです。




