表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
425/539

突撃流星

 ふと、下を見下ろせば。そこにも無限に広がる宇宙、ではない。街が見える。かなりの大都市のようだ。こんな夜闇の中でも、無数の篝火が焚かれて、それもまた地上の星として空の星々ときらめきを競っているかのようであった。

「……これは、何か、いくさの構えのようだな」

 貴志はその篝火の焚かれっぷりを見て、そう呟く。他の面々も、下方に地上の都市が現れたのに気付いた。

「いつの間に?」

 世界樹の仕業であろうか。宇宙の真っ只中にいたはずが、いつの間にか人の世界の空にまで降りたようだ。

「っていうか、漢星ハンスン?」

 見覚えのある建物がいくつも見える。特に李家の邸宅や、王宮……。上方から見下ろしたことはないが、地図や俯瞰図を見たことはあり、それと一致するのであった。

 その間にも星は流星となって鋼鉄の火龍にぶつけられて。金属音の悲鳴が響き渡った。

 地上では、貴志の言う通りそこは漢星で、空の騒ぎに驚いて多くの人々が夜空の下、外に出て。警備の兵も、すわやと、咄嗟に篝火を多く焚いて、いざという時に備えた。

 この騒ぎである、王宮にも影響はないはずがなく。雄王ウンワン安陽女王アンヤンヨワン李太定イ・テチョンにその息子の志明チミョン、辰から逃れた劉開華と公孫真も驚いて空を見上げた。

 皆、中庭に集まって、松明を掲げる衛兵に護られつつ夜空を見上げていた。

「火龍!」

 劉開華と公孫真は顔を引きつらせて驚いたが、もっと驚いたのは、流星が束になって鋼鉄の火龍を襲っていることだ。

「これは」

 雄王も夜空を見上げて、呆然とするしかない。鋼鉄の火龍の話は、劉開華が錯乱したのではないかと思ったが、まことであったとは。それがここまで来たか、と思ったが。

 流星に当てられのたうちまわる様には、不審や違和感もあった。

「貴志!?」

 志明が目を凝らして、鋼鉄の火龍のみならず、その周辺も見渡せば。人が浮いている? 複数人が浮いているようで、見覚えのある者たちばかりな気がするのは、気のせいだと思いたかった。

 それらが、気のせいか、高度を下げているのか徐々に大きく見えるようになってくるが。

 気のせいではなかった。実際に鋼鉄の火龍をはじめ、その周辺には確かに人がいて、徐々に高度を下げてきている。

 流星はあるところから出てきているようだ。誰かが何かを持ち、そこから迸り出ている。

 太定は年のせいで目が利かず、夜空のただならなさは見えているが、はっきりと見えない。志明に見えるものを説明させる。

「はっ。鋼鉄の火龍のみならず、貴志やその連れ合いたちも見えます!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ