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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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突撃流星

 とはいえ、世界樹の子どもは嘘はつかない。その言葉は、聖智の様子を見れば、信じてもよさそうだ。

 それよりも、今は鋼鉄の火龍だ。

 どこで手に入れたのか、龍玉と虎碧は得物の剣から火焔を放ち。香澄の七星剣は火龍の火焔を跳ね返す。

 鋼鉄の火龍は攻撃も効かず、突然相手の数が増えて不利に陥ったように見える。

「……オレらの出番はなさそうだな」

 考えすぎだったかと、源龍は高みの見物を決め込み、打龍鞭を肩の上に乗せる。羅彩女もそのそばで見物を決め込む。

 貴志は、今はマリーと適度な距離を取って。同じように様子を見ている。

(あっ)

 元穆蘭の青い珠の七星剣がない。部屋に残したか。と思った時、ふわふわと、鞘に収まる青い七星剣が貴志向かって漂ってくる。

(仕方がないなあ)

 貴志は苦笑しながら青い七星剣を手に取り、帯に差す。

 鋼鉄の火龍に驚いたが、香澄と龍玉、虎碧が追い込んでいるように見える。ここは彼女らに任せてよいかと思ったが。

「油断しないで!」

 コヒョは叫ぶ、いつの間にかそのそばにいるリオンも同じように、

「油断しちゃだめだよ!」

 と言えば、マリーも、

「気を抜いちゃだめよ!」

 と言うではないか。

 この世界樹の子どもらは、鋼鉄の火龍の真の恐ろしさを知っているのか。

 ふと、貴志は懐のところに手を持って行き、筆の天下の感触を確かめた。これは肌身離さず持っている。服の上からと言わず、懐の中に手を入れて直に触れてもみる。

 ついで、手に取って出す。

 何の変哲もない筆だが、何かの拍子に中空に何かを描くことが出来る不思議な筆である。

(ここで何を書かされるんだろうか)

 それは天下のみぞ知る。

 鋼鉄の火龍といえば、香澄と龍玉、虎碧に押されて。このまま決着がつきそうだったが。リオンとマリー、コヒョは油断するなと言う。

 聖智は傍観するしかなかった。

 しかし、この宇宙の広大さよ。

 今この時に気にすることではないかもしれないが、果てなく広がり星の煌めきもまたどこまでも止むことがない。

 思わず自分の小ささを痛感させられるのであった。

 鋼鉄の火龍は、押されて。たまらず浮いた状態で縮こまるようにとぐろを巻いた、ように見えたが。

 そのまま鉄球と化してまず龍玉に向かって飛んでくる。

「ちょこざいな!」

 自分に向かってくる火龍の鉄球を避け様に、青龍剣から火焔を放つ。しかし炎に包まれながらも勢い衰えることなく、そのまま龍玉向かって突っ込む。

「え、ちょっと!」

 気が付けば目の前。このままぶつかれば粉々に砕かれそうだが、避けられそうもない。

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