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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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回報戦闘

 などなど、画皮と渡り合いながら色々と思った時。

 空から轟く咆哮。

 皆一瞬その咆哮に気を取られてしまって、空を見上げてしまった。

「翼虎!」

 貴志は驚き、源龍は思わず歯噛みし、羅彩女は呆気に取られる。龍玉と虎碧は絶句し一瞬固まったが、画皮も同じように固まっていた。

 翼虎は翼をはためかせて、若い鳶のようにぐるぐると虚空を回るばかり。

「どういうことなんだ!」

 巍軍を追い払いに行ったのかと思っていたのに、これでは畜生と変わらぬではないか。

「おおおー!」

 阿修羅は何を思ったのか、源龍が思わず一瞬固まったのをいいことに咄嗟に間合いを開けて、翼虎に迫り。画皮も気を取り直して羽毛で跳躍して翼虎に迫る。大鮫も鯱から離れて、跳躍をするがその都度海に落ち波しぶきをあげたが、翼虎に気を取られて迫ろうとしているかのようだった。そこに鯱が迫り、海の戦いは再開される。

「生まれたてでまだ自我に目覚めなくか。いまのうちに仕留めねば!」

「人外が好き勝手できる世の中にゃ、こんなの邪魔だ!」

「生まれたてで自我がないってな、なんだそりゃ!」

 源龍は我を取り戻し、羽毛で跳躍しながら阿修羅を追い。貴志と龍玉、虎碧も羽毛で跳躍しながら画皮を追った。

「ままよ!」

 貴志は跳躍しながら槍を逆手に構えなおし、思いきり投げつけた。

 槍は虚空を貫くように飛んで、画皮の背中に迫り、

「うおお!」

 その背から胸へと、貫いて。画皮も思わず悲鳴を上げながら落下する。

「やったか!」

「なーんちゃって!」

 貴志の期待は大きく外れ、画皮は背から胸へと貫く槍を掴んで引き抜き、体勢を立て直し、漂う金色の羽毛に足を掛けて跳躍しながら舌を出し。あからさまに馬鹿にする。

 その間に阿修羅は高度を上げる、少し後ろまで源龍が迫る。

「阿修羅さま、ここはあっしに任せて、虎をお願えしやす!」

「心得た!」

 なんと画皮は一瞬にしてふたつに分裂し、ひとつは貴志らに、もうひとつは源龍に迫る。槍を持っているのはもうひとつの方で、源龍向けて投げつける。

 しかし源龍はすかさず振り向き、打龍鞭で槍を弾き飛ばした。

 弾き飛ばされた槍はうまい具合に貴志のもとまで飛んで、またそれもうまく掴まれた。

「うわあー!」

 変な声で叫びながらもうひとつの画皮は両手両足を広げて源龍に飛びかかった。

「くそが!」

 阿修羅が翼虎に迫るのを感じながらも、目前の画皮である。打龍鞭を振り下ろし、その脳天を打ち付けようとする。だが、はっとしてすぐに打龍鞭を振り上げた。

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