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元男爵令嬢、異世界でアイドルをマネジメント  作者: 千山芽佳


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35/40

話し合い

 

 コンサートが無事に終わり、ベラバイのファンに取り囲まれたエスタ。

 なんとか彼女達の誤解を解き、迎えに来てくれたクリフの姿を見つけてホッと安堵した時だった。

 突然背後から襲撃に合ったエスタ。

 クリフに腕を引かれ事なきを得たが、エスタとクリフを庇ったディーゴが、腕に怪我を負った。

 そこからは早かった。

 ディーゴは救護室に運ばれ、犯人は侯爵家の騎士に取り押さえられ、駆け付けた警備隊によって連行された。


「約束したのに! 違うって言ったのに! 嘘つき裏切り者わあああああああ!!」


 エスタはリアンとクリフに支えられながら、放心していた。

 エスタを襲った犯人は、ロズリーの過激なファンだった。

 以前、エスタに裏接待のことを訊ねた少女だった。

 あの時、彼女に噂は嘘だと、安心するよう伝えた。

 その時はエスタ自身も信じて疑わなかったので、言葉に嘘はなかった。

 その後、エスタはマネージャーを辞めたので彼女との約束が反故になる形になった。

 さらにロズリーの裏接待が現実と知り、少女はひどくショックを受けた。

 そんな時、嘘をついたマネージャーが辞めたことを知り、さらには他のグループを手助けしていると知って憎悪した。

 逆恨みであることに変わりはないし、襲われる理由にはならない。

 女は騎士に取り押さえられ、憲兵に引き渡された。

 目撃者も多く、処罰は免れないだろう。


 怪我を負ったディーゴは、すぐに医師によって処置が施された。

 刃は筋肉で止まっており、出血も少なく命に別状はなかった。怪我も一月もあれば治るそうだ。


 アービス邸に戻ると、疲労困憊ながらもエリオットからディーゴの件を聞かされた。

 そして治療を終えたディーゴ本人の希望により、アービス邸に戻ると、メンバーと共に話し合いの場が設けられた。




 改装して広くなったリビング兼ダイニングで、エスタとディーゴはダイニングテーブルに迎え合わせで座っていた。

 二人に配慮したのか、エリオットと他のメンバーはリビングのソファにかけたり立って様子を見守っている。


「怪我した直後で大丈夫か? 話を聞くのはもう少し落ち着いてからでもいいんだぞ?」


 カッシュの心配に大丈夫だと答えるディーゴ。

 クリフが「先に聞いてもいいか?」と、腕組みをしてディーゴに訊ねた。


「なぜ君がエスタを助けた? 君はエスタを恨んでいたのではなかったのか」

「……」


 エスタがエリオットから聞いたのは、ディーゴが脅迫文を書いて自分を辞めさせようとしたことと、音源を盗んで責任を負わせようとしていたことの2つだ。

 襲撃も一見ディーゴの仕業と思われたが、こちらは逮捕された少女の犯行であった。


「どうしてエスタに嫌がらせを?」

「……」

「大丈夫って言っておいてだんまりなら意味なくな~い?」


 リアンとルルも訊ねるが、ディーゴは口を引き結んで黙ったままだ。代わってエスタが訊ねる。


「事情があるなら聞かせてほしい」

「……僕の方こそ聞きたいです」


 ようやく口を開いたディーゴに、全員が耳を傾けた。


「エスタさん。なぜアイドルのマネージャーになってるんスか」

「え?」

「言ったじゃないスか。死に際に『もうアイドルは懲り懲りだ』って」

「死に際?」


 何の話だと全員が怪訝な顔を浮かべて顔を見合う。

 この中で、エスタだけがその意味を知っていた。


「もしかしてあなた、『転生者』なの?」

「……はい」


 ディーゴが真っ直ぐとエスタを見た。

 転生者であり、且つ前世ではエスタと同じ時間を生きていた。

『私』の最期の言葉を知る人物。


「まさかーー」

「……そうです。僕は前世でエスタさんを殺した者です」




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