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会談後 2

 セザール殿下とブロード侯子が何やら言い争いながら、中庭に迎えに来てくれた。その様子が微笑ましくて、つい笑みが溢れてしまう。


「ローランド公女は帰ったのか?」


 不思議そうにブロード公子は空いた席へ視線を移した。


「実はルーマー伯爵が怒鳴り込んで来まして」


「はあ?で、大丈夫だったのか?」


 セザール殿下が血相を変えて、ツェツェリアの腕を掴むと服の乱れや体に傷がないか、くまなく調べ出した。


「だ、大丈夫です。公女様の侍女が近衛兵を呼んで来ましたので、大事にはいたりませんでした」


「そう、良かったよ」


 ほっとした様子の二人に、なんだか申し訳ない気持ちになる。


「あの、レイは?」


「ああ、陛下と話をしているよ。王弟として認められたのだから、彼も少なからず責務を負う事になるからね」


 優しく笑いながら、そう話すブロード侯子をセザール殿下は不貞腐れたように眺めている。


「あの、会議は?」


「ふふふ、それはコイツの宮に帰ってから、ゆっくり話そう。レイモンドも戻って来るだろし」


 『ここでは話せない』、だから、帰るまで聞くなと言う強めの言葉を、柔らかな物言いで綺麗に隠したブロード公子に馬車までエスコートされる。それを面白くなさそうな視線を送りながらも、口出しをしないセザール殿下が目に入って、また、クスリと笑ってしまった。


 馬車の停めてある場所までの道中、黄色い声と感嘆の溜息が聞こえてくる。ツェツェリアの両脇を固めるこの2人の男性に向けられたものだろう。ついでに、ツェツェリアに向けられた突き刺さるような視線。


 ツェツェリアは居た堪れない気持ちのまま、そそくさと馬車に乗り込むと、はあと大きく息を吐いた。


「気になるかい?」


 と優しく尋ねる公子とは対照的に


「いっそ、皆殺しにしようか?」


 と、物騒なことを言うセザール殿下。


 二人の気遣いになんだか心が軽くなった。


 ホワイト宮殿に着くと、セラとマニエラ心配そうに門の側で待っていた。


「奥様、大丈夫でしたか?この方々と出歩いて、何か嫌がらせはされませんでしたか?」


 馬車を降りると、ササッと駆け寄ったセラが心配そうに聞いてくる。


「「は?俺(私)達のせいでツェツェが嫌な思いをすると?」」


 二人の声が重なる。


「わかってらっしゃるのなら、良いのです」


 フンとばかりに、鼻息荒くセラは男達二人を睨みつける。


「はあ、気をつけるよ」


「わかりました。気をつけます」


 二人の返事に気をよくしたセラは満足げににっこりと笑った。


「ええ、しっかりと牽制してお守りして下さいませ。お嬢さん方が何かしでかさないように。女性の嫉妬は怖いですから!ささ、奥様、お疲れでしょう、中へ行きましょう」


 二人の男性になどに目もくれず、セラとマニエラはツェツェリアの世話を焼く。セザールは後ろに控えていたカロを視線で呼んだ。


「何があった?」


 カロの渋い表情が目の端に映る。セザー殿下のチッと舌打ちを聞きながら、建物の中へ足を進める。

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