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サモナーさんの召喚するだけ3秒間クッキング ~大繁盛! ダンジョン前食堂~  作者: 森田季節
いろんなパン登場編

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最終話 パンじゃなさそうなパン

 俺たちのパン事業も軌道に乗り、「オルフェ食堂」はパンも定食も出す人気店として王都だけでなく、全国で知られるようになった。


 パンの種類も増えて、最近だと昼の部に店内で注文する客もいる。といっても、アンパンなんかは食事という感じじゃないから、特定のものだけが出ているけど。


「牛丼と、それとカレーパン一つな!」

 また、注文が入る声が聞こえてきた。


 そう、あのあとカレーパンなるものがメニューに加わったのだ。


 ちなみにこれはリルハさんが思い出したものじゃない。


 ある日、レトが夕食中、こう言い出したのだ。

「このカレーってパンにつけてもおいしそう」

 たしかにカレーライスとして出現していたので、ライスとあわせる必然性があるように思っていたが、カレーそのものはソースだからパンにつけることもできる。


 それで試してみたら、問題なくおいしかった。

「これ、いいですね! まかない裏メニューみたいでいいですね! 背徳感すらあります!」

 サンハーヤの言う背徳感というのは明らかにおかしいが、カレーにパンがおいしいのは間違いない。


「あの、オルフェさん、もしかしてなんですけど、カレーパンっていう料理、あるんじゃないですかね?」

 そこでサンハーヤが思いついたようにこう言った。


「えっ? でも、パンに入ってるの、甘い系統のものばかりだろ。ジャムとかチョコとかそういうのだったし」

「甘いカレーが入ってるかもしれないじゃないですか」

 甘いカレーを想像して、口の中に変な味が広がりそうになった。イチゴ味っぽいカレーとかきついぞ。


 で、ダメ元で召喚したら、出てしまったのだ。

 とはいえ、フォルムが明らかにこれまでとまったく違う。


=====

ご注文の品をお送りいたします。

料理名:カレーパン

一説にはピロシキからヒントを得たとかいった話もあります。日本を代表する惣菜パンになりましたね。ちなみに、パンを揚げるという文化は本来ヨーロッパにはなかったようなので、中国の揚げパンの発想かもしれません。ピロシキ的なものも祖先は同じかもしれませんね。というか、調理法的にパンではないですね。

=====


「これ、どこがパンなの?」

「レトの言うこと、わかる。これ、パンって呼ぶのか?」


 とにかく俺たちはそのカレーパンをかじってみた。中にカレーが入ってることはだいたいわかってたし。


 食べた瞬間、これは絶対にメニューに加えようということで意見が一致した。


 むしろ、これまでのパンでは足りてなかったボリューム感を完璧に満たしてくれているとさえ言える。


 こうして、即座に朝のメニューにも、昼のメニューにも加えられ、爆発的にヒットしているというわけだ。

 昨日も、「二百個くれ」と軍から依頼があった。仕事終わりの軍の慰労で配給するのだという。たしかにパン程度なら輸送できるレベルだしな。


 もはや、「オルフェ食堂」は完全に王都のお店として定着した。


「オルフェさん、カレーと牛丼です!」

「味噌ラーメン、しょうゆラーメン」

「ぜんざい二つ来ました!」


 おっと、ぼうっとしていると、また注文がどんどん入った。

 飲食店って長くやるのは難しいっていうけど、このお店の場合はなんとでもなりそうだな。そう冒険者たちでいっぱいの店を見て、俺は思った。


 俺たちはまだまだ食堂でやっていくぞ。

今回でお話は最終回といたします。端的に言うとネタが尽きました……。本編はこれでおしまいですが、次回はあとがきを更新できればと思っております。

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