第40話 大奮闘な予感がしてきた
現在、俺の部屋で、美鈴先輩は全裸で縄に縛られている。
「なんだ。結局、美鈴先輩の鞄の中に入ってたんじゃないですか。良かった良かった……これ回収させてもらいますね。美鈴先輩……セット完了っと」
ピッ!
「ハヤテっち~! 恥ずかしいから、せめて毛布か何かで身体を隠させてよ~! 私、先輩だよね? なんでこんな仕打ちするわけ~?」
美鈴先輩は、たわわな胸を揺らしながら、俺に抗議してきた。あの動画で太一が助けを求めなかった《《連中》》の仲間の1人のくせにいけしゃあしゃあと……
「うるさい! 不法侵入がぁ!」
パチンッ!
「いしゃいっ?! ハヤテっち?!」
俺は美鈴先輩を跪かせると、お尻をおもいっきり叩いた。
「……太一がどんな性格だろう……今はアイツと距離を置いていても、こっちの世界の親友はアイツだったんだ。太一には優しい所もあった……それがアンタに……催眠術美少女戦士に関わった事で変わったんだろう。なにを他人のせいにしてんだ! この野郎!」
「ひゃあ?! いしゃいっ?!」
美鈴先輩は学校では、なんやかんやと言い訳を言っていたが、太一をあそこまで追い込んだのはこの人達だ……何人いるのかは知らないが、今は目の前の不法侵入に責任を取ってもらう。
バチンッ!
「しゃいっ!……ご、ごめんなさい! ハヤテっち」
「許さん!」
この世界に転生してから殆ど穏やかに生活していた。だが、今回ばかりは許せるか。人の人生をなんだと思ってやがる。
「この! 反省しろ! 美鈴先輩」
パチンッ!
「ぴゃい?! な、何で? なんで私のフェロモンが効いていないのよ?」
「フェロモン?……ああ、それでか。こんなに感情が高揚して、興奮しているのはっ! まだまだ余裕そうですね。美鈴先輩、お仕置き……さっきよりも強めにしてあげますよ」
「ぴゃうっ!……はハ、ハヤテっち。駄目……なんか、私新たらしい扉開いちゃいそうだよ~!」
◇
「は、早く、しないとハヤテの貞操が先輩《変態》に奪われちゃうわ!」
急がなくちゃ。急いで、ハヤテの部屋に行ってハヤテを助けてあげなくちゃあ! ハヤテの色々を奪われちゃう。
私達は生徒会室を脱出した後に、学校を出て、急いでハヤテの家に向かったわ。それで、今はハヤテの家の前に居るの。
「分かってる……スペアキーは、雪乃さんから預かってるから、家には入れるね」
「もう手遅れになってるじゃない? 貫通してるよ。貫通……ほぁた?!」
よもぎが変な事を言ったから、頬をペチペチペチペチしてあげたわ!
「してない! ハヤテと初めて貫通するのは、私よ!」
「してない! 秋崎君と初めて貫通するのは、私」
「痛たた、相変わらず。仲良しで、息ピッタリだね。結女さんと六花さんは」
「凛ちゃん。千夏ちゃん。ハヤテくん、大丈夫かな?」
「……そればかりは分かりません。催眠術美少女戦士は変態集団ですから、まあ、その中でも《春》は初で有名……奥手なので、多少は時間が稼げると思います」
「そう……連中は見栄えばかり気にして、皆処女だから……見栄っ張りが多い変態集団。それが催眠術美少女戦士。口と変な技を持つ連中」
私、六花、よもぎ、愛花梨、凛、千夏の6人は、ハヤテのお母様に連絡して、家に入る許可をもらったわ。
そして、今はハヤテの部屋の前に着いたの。
〖アアンン!!ショウユーーラーメーーン!!〗
「「「「「「醤油ラーメン?」」」」」」
ハヤテの部屋からエッチな動画の音が聴こえてきたわ。
まさか、ハヤテ……エッチな動画を、あの変態に無理矢理見させられてるの? こ、こうしてはいられないわ。早く助けなくっちゃ!
「ハ、ハヤテ~! しっかりしなさい。あんたの相方の有栖川結女ちゃんが着てあげたわよ~!」
私は叫びながら、ハヤテを救う為に部屋の中に突入した。
「ほら~! 反省したんだな? 美鈴先輩! もう、悪いことは絶対にしないんだな?」
パチンッ!
「しゃ、しゃいっ! し、しないから~! しないから~! もっといっぱい私を叱って、ハヤテっち~!」
「良し! なら許す。今度から、催眠術美少女戦士の情報は俺に提供するんだぞ。変態の美鈴先ぱ……い?」
「しゃうっ! うん。するから。もっとお尻を叩いてよ。ハヤテっ……ち?」
「「え?」」
……衝撃の光景が広がっていたわ。変態2人が居たの。そして、私……いえ、私達6人は一斉に。
「「「「「「何してるの? この変態!!」」」」」」
「あ、有栖川達? 何でここに…て! ギャアア!」
「ちょっと、止めなさい。後輩ちゃん達!! なにするのよ!!」
私達は部屋に居た変態2人を捕まえて、お仕置きしたわ。
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◇
《次の日 朝 バス亭》
美鈴先輩との死闘から一夜明け、次の日の朝、俺は結女とバス停にいた。
「……飛んでない目にあったぜ」
「とんでもないものを見せてくれたのはどっちよ」
あの後の事はあまり覚えていない。美鈴先輩と共に結女達に囲まれて、何かされたらしい。
美鈴先輩も昨日の記憶は殆どなく。何故か俺のメス豚になると言って帰っていった。
「全くもう! 心配して損したわ! 敵にあんな事をするなんて思いもしなかった! 変態ハヤテ」
「俺もあんな事をするなんて思いもしなかったって……フェロモンって、凄いよな。結女」
「ふん! 知らないわよ」
昨日からご機嫌斜めだな。まあ、あんな光景を見せたらそうもなるか。
「……まぁ、機嫌直してくれよ。昨日の夜、せっかく結女の好きそうなエロ動画をダウンロードしておいてやったんただからさ」
「にゃあ?! それは本当なの? ハヤテ、やるじゃない。私、嬉しいわ」
おお、機嫌が良くなってくれた。結女は単純だから助かる。
「そうか……なら、今日の放課後は家で鑑賞会やろうぜ、昨日は色々とあって、カラオケも行けなかったし。その穴埋めだな」
「ニュフフ、良いわね。それ……今日からしばらくは何も起きないと思うし、リフレッシュしましょう。私達の大好きなエッチな動画でね」
「……相変わらず、超絶美少女が凄いこと言ってんな。まあ、結女だからしかないか。ああ、約束だ」
そんな会話をしている間にバスが来た。
「うん! 約束、それじゃあ、バスに乗りましょうか。ハヤテ!」
「おう! いつも通りにな」
結女が最初にバスに乗り込み。
「フニャァ?!」
案の定、バスに乗る為の階段から落ちそうになって、スカートの中が見えた……純白のパンツを今日はしっかりと履いていた。
「おっと! 気をつけろよ。結女さんよう」
「ニュフフ、わざとよ。だって、私の事は、ハヤテが助けてくれるもの? そうでしょう? ハヤテ」
ニュフフと何かを企んでるようにニヤニヤする、結女。
「ああ、いつでも助けてやるさ。なんたって、結女は……有栖川結女は俺が一番大好きなメインヒロインなんだからな」
「そうなんだ……ニャフフ、嬉しいわ。ありがとう。ハヤテ!」
俺と結女は仲良くバスへと乗り込み、いつもの一番後ろの左の後部座席へと一緒に座り、お互いの手を優しく握りあった。




