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第32話 モキュモキュモキュモキュ……ゴックン!

《バス亭 朝》


「ゲプッです……食べ過ぎちゃいました」


「おい! ゲップすんなよ。行儀悪いだろう」


「……私への偏見ですか? 私悲しいです。しくしくです」


 凛の奴、わざとらしく泣いた振りしやがって、全く。野生児じゃないんだぞ。


「偏見じゃねえよ。マナーだよ」


「すみません……コンビニで肉まん買ってきてもいいですか?」


「まだ食うのかよ! 凄いな。お前の腹の中」


「……肉まん。買って来ます」


「て! もう。コンビニの中に入ってるし、忍者かなんかかよ。本当に凛の奴」


 そんなやり取りをしているとバス亭の方から、俺達に手を振っている愛花梨あかりが朝の挨拶を俺達へとしていた。


「おはよう~! ハヤテ君。凛ちゃん。おはよう~! 今日は結女ゆめちゃんと一緒じゃないんだね…て、凛ちゃんはコンビニに行ったんだね」


「おはよう。愛花梨あかり……あれ? 太一の奴と一緒に登校してるんじゃないのか?」


「う、うん。最近はね……太一君はその……ほらインサタの画像の件でもめてるんだ。先週のお休みのと気も、夜に私が電話したら、先輩と一緒に居たみたいだし」


「おいおい。それって浮気じゃねえか。何してんだ? 太一の奴」


「え、えっとね。太一君にも色々と理由があるんだと思うの。カッコ良くなる為に、イメージチェンジとかも頑張ってし……はぁ」


 愛花梨あかりはそう言うと小さくため息をついた。


「いやいや。それだと俺が2人を見て萌えられないだろが。それにカッコ良くなる為のイメチェンって……あんなダサい金髪。逆にカッコ悪くなってるだろう。太一はさあ」


「……それはそうかだけど。それを太一君に言ったら別れる事になっちゃうし。太一君に強要されてたノーパンも止めたから、最近は返事もしてくれない時があるし……私」


 おいおい。恋愛ゲー〖私を好きなだけ追い詰めてダーリン。余所見はNoneNone〗のハッピーエンド後の物語がこんなになるなんて知らなかったぞ。


 こんなのまるでバットエンドじゃねえか。どうなってるんだ?


「………原因」


「え?」


「たしかここ数日で太一が可笑しくなってるのは、太一と浮気してるとかいう、インサタの写真に写ってた先輩が出てきてからだよな? 太一の奴はいつからその先輩とつるんでるんだ?」


「えっと……私が太一君に告白して、付き合い始める2週間くらい前からかな。たまに私と一緒に遊んでいる時に電話で連絡していたから。太一君がハーレム要因の1人って自慢してたから覚えてるよ」


 ……あの太一アホ。自分の好きな相手に何を言ってんだか。たしかに生前にプレイしたゲームの中でも主人公・藤本太一は優柔不断な所はあるが、各ヒロインルートでは、決める所はしっかり決め、ヒロイン達を幸せにしていたが。


 それはあくまでもゲーム内の話。主人公《太一》たヒロイン達が幸せになれるかは本人達しだいだ。


「原因が女の先輩なら、その先輩と離れ離れにすれば。太一は元に戻るかもしれないな」


「(モキュモキュモキュモキュ……ゴックン!)………それは無理だと思いますよ。あの金髪さんが魅了されていなくても、あの金髪さんはだらしない人なので。これが証拠の映像です」


 野生の凛が現れた。袋いっぱいの肉まんを片手で頬張りながら。もう片方の手でスマホを持ち。俺達へと何かの動画を見せようとストレージファイルのボタンを押した。


「……太一の証拠の映像? なんだそれ」

「そんな浮気・・の証拠映像があるの? 凛ちゃん」


「はい。今、再生します。グロテスクなので吐かないで下さいね。そして、すみませんせんが私は耳を塞ぎます」


「「グロテスク?」」


ピッ! 


『おぉぉおぉ!!! もう無理です!! おば様、オカマの方!』


『何言ってるのよ。若いんだから。まだまだいけるわよ』

『そうね。まだまだ楽しませなさいよ。貴方にパートナーには色付けて払ってるですからね!』


『うごぉぉ?!』


『あら。可愛い……跳ね回ってるわ』

『まだまだ予約はいっぱいだぞ。皆を楽しませろよ。自称イケメン君』


『ぎゃああああ!! もう嫌だ! 先輩! 先輩! 助け…あ…気持ち良い』


『《椿》ちゃん。これね……しかし、質の悪い子を連れてきたわね。あれ、外れでしょう? 当たりを持って来なさいよ』

『はぁ? 何言ってんの? 当たりは私達が大切に頂くんだし。あんた等はあれで我慢しなさいよ。おば様方』

「このクソガキは………まぁ良いわ。さっきから叫んでるあの子。しばらく預かるわね。私達の……ブツンッ……」


 ………凛の奴。朝からとんでもないグロ画像見せやがった。


「ウップ! 吐きそうに……」

「わ、私……トラウマになっちゃたかもしれない。太一くんがオバサンとオカマの人達とあんな事をしてるなんて思ってもみなかったよ」


 なんたるグロテスクだろか。動画では映し出されていたものが、薄暗かったので全体像は見えなかったが……おそらく太一は…いや。深く考えるの止めとこう。


「……とりあえず。何で凛が太一のヤバイ動画を持っているのかは置いといて、太一をそんな風にした《椿》とか言う先輩を少し調べる必要がありそうだな」


「はー君。それは止めておいた方が良いですよ」


「はぁ? 何でだよ。こっちは親友があんな事をされて苦しんで…はいなかったな」


「はい。あれが金髪さんの本性ですよ。囲まれていれば女性なら誰でも良いんですよ……あの人は女性にちやほやされたいだけの人なんですからね」


《とあるスタジオ》


「せ、先輩。これで俺とやってくれるんですよね? あの人達と沢山試合したんですから、約束は守ってくれますよね?」


「ヒイフウミと……ん~? ああ、約束ね~! そういえば、そんな約束してたっけ?……うん。良いよ」


「ほ、本当ですか? やったー! 先輩を抱ける。イヒヒヒ」


「あんたの親友の可愛い男の子。秋崎疾風君と2人っきりにしてくれたらね」


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